第二十五話 外の世界へその十
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姿見の鏡で自分の姿も見てだ、優花はあらためて言ったのだった。
「どう見ても」
「女の子ね」
「そう思いました」
今も隣にいる副所長に答えた。
「何か、けれど」
「そう、それでも根っこのところはひょっとしたらね」
「まだ、ですね」
「男の子のところが残っているかも知れないから」
だからだというのだ。
「気をつけてね」
「まだですね」
「そうしてね」
こう優花に言うのだった。
「くれぐれも」
「そうします、何といっても」
「些細なことからわかる人はわかるから」
ここでも優花にこう言うのだった。
「注意してね」
「そうします」
「それが貴女を守ることになるから」
「自分自身が注意をすることがですね」
「そうよ、いいわね」
「はい」
こくりとだ、優花は鏡に映っている副所長に答えた。
「そうさせてもらいます」
「それじゃあね、今から行きましょう」
「学校の中の見学に」
「細かいところまで見ていきましょう」
正式に編入して学園生活をはじめるその前にというのだ。
「いいわね」
「じゃあ案内お願いします」
「任せてね」
副所長はかつて勤務していた勝手を知る場所だから笑顔で応えることが出来た、自信があるということだ。
二人で中を巡るとだ、休み時間になり。
優花を見てだ、男子生徒の中からこうした声が聞こえてきた。
「あんな娘いたか?」
「転校生じゃないか?」
「結構可愛いな」
「そうだな、可愛いな」
「小柄で顔も整ってね」
「髪の毛奇麗でな」
「目奇麗だな」
特に目がというのだ。
「脚も白くて形よくて」
「あんないい娘学校にいたんだな」
「隣にいる人も奇麗でな」
「おばさんだけれどね」
「おばさんね、私もそういう歳になったのね」
副所長はここで楽しげに笑った。
「面白いわね」
「面白いですか」
「母に言われたの、女はずっと花でね」
それでとだ、優花に話すのだった。
「おばさんにはおばさんのよさがあるって」
「そうなんですか」
「最近はお母さんも奇麗な人多いでしょ」
「ううん、そうしたことは」
優花は副所長の今の言葉には首を傾げさせた、それは何故かというと。
「僕はわからないです」
「あっ、そうね」
「はい、お母さんのことはあまり知らないです」
もっと言えば父親のこともだ。
「どういったものか」
「ごめんなさい、貴女はそうだったわね」
「ちょっと覚えていますけれど」
だがそれでもというのだ。
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