第二十五話 外の世界へその八
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「姉さんもメイクしています」
「働いていると絶対にするわね」
「はい、ナチュラルですが」
優子はメイクに時間をかけない、彼女らしくあっさりとしたメイクだ。
「そうしてます」
「女性にとってメイクは欠かせないわ」
「絶対のものですね」
「そう、まあしない人もいるけれど」
「そうした人は少数ですね」
「そうよ、だから貴女もね」
優花にしてもというのだ。
「メイクのことも考えてね」
「わかりました」
「ファンデーションとルージュ位は」
メイクの基本のものだ。
「用意しておいてね」
「そうします」
「もっとも貴女は」
優花のその人形を思わせる整った顔を見ての言葉だ。
「そのままでもいいわね」
「メイクしなくてもですか」
「かなりのものよ」
「そうでしょうか」
「それならメイクをしてもナチュラルでいいわね」
こう言うのだった。
「むしろその方が映えるわね」
「ナチュラルメイクの方がですか」
「いいわね」
「そうなんですね」
「私が思うにはね」
「わかりました、じゃあ通学がはじまるまでに買っておきます」
「その時は私も一緒に行くわね」
その買いものにというのだ。
「そうするわね」
「お付き合いしてくれるんですか」
「だって化粧品とか買ったことないでしょ」
「はい」
このことは当然のことだ、何しろ男だったのでそうしたものと縁がある筈がない。もっともそうではない男もいるが。
「まだ」
「そうでしょ、だったらね」
「副所長さんもですか」
「一緒に行くわ、それと化粧品は高いものは高いから」
「値段にも気をつけないといけないですね」
「そうよ」
実際にというのだ。
「だから注意してね」
「わかりました、お買いものの基本ですね」
「そう、値段と品質の問題はね」
「その二つのことは化粧品についても同じですね」
「そういうことよ」
要するにというのだ。
「頭に入れておいてね」
「そうさせてもらいます、それで髪やアクセサリーも」
「考えてね」
「そうさせてもらいます、もっと慣れたら」
女でいることにとだ、優花は答えた。
「そうさせてもらいます」
「そうしてね」
「では着替えてき給え」
校長は立場のある者としての言葉を出した。
「そのうえで学校を見回ってくるのだ
「はい」
優花は校長の言葉に応えた、そして副所長と共に更衣室に入りそこの空いているロッカーを借りて私服から制服に着替えた。
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