110話 昔話2
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強力な呪いを一時的に払い除けるぐらいなんだから……できるよね?
・・・・
「ねぇ、あなたは誰」
「俺かい。君のお父さんだ」
「私をトロデーンの、モノトリア家の家の前に捨てた実の父親ってこと?」
「……あぁそうだ。言い逃れのしようもない」
闇が波打っているような不思議な空間で、私は背の高い男の人と向かい合っていた。いつの間に。
怪我はない。痛みもない。体の調子も悪くない。なのになんだか体を動かせない気がして、だらんと腕を伸ばして立っているんだ。
銀髪に紫色の目をしたその男の人は、とても強そうだった。目は鋭く、顔は……エルトやククール、ヤンガスとも違うイケメン。こんなかっこいい人と血が繋がっている割には私って顔良くないよね。話を鵜呑みにするならさ。可愛くも、かっこよくもないんだよ、私ってね。中性的でなんとも言えないんだ。
彼の声は男らしく低く、私の声は変声器なしの高い声。それがとてもはずかしく感じられた。
「……そう。別にあなたの事は恨んでないよ。私はモノトリア家の一員として幸せだから」
「そうか。それなら良かった」
「ところで、ここはどこ」
「……はざま、というのが正しいだろう」
彼は少し微笑む。笑顔は冷たい容姿と反対に温かだった。なんか安心する。やはり父親だから?父上といても安心するけどそれとは種類が違う。
しかもそれは恥じらい無しに抱きついたって構わないって思わせるような包み込むような笑顔だった。
「生と死。表と裏。体と心。そんなもののはざまだ、トウカ」
「……私って案外死にそうなの?」
「いいや。俺が呼んだだけだから後で帰れるさ」
そう言うといきなり彼は動けない私を子どもにするみたいに抱き上げたんだ。ひょいって、軽々と。身長差があるにしても……あ、夢なのかな。なら重さなんてないや。ただの夢なんだろうか。生みの親を見る夢なんて。どうせならお母さんが良かったかも。
「俺の名前はアーノルド。アホなラプソーンの親友だった存在だ。……ちょっと見て欲しいことがある。少し時間をもらおうか、我が娘」
「え、ちょっと、どういう……」
ラプソーンの親友だった?何を知っているの。なら人間なわけがないじゃないか!私もそれなら人間じゃないってことになるし……。その割には別に普通だよね?白塗りメイクとか顔色が著しく悪いとかそんなことないものね?
「トウカ、これは夢だから。安心しなさい、不安なことはなにもない。目覚めれば怖いと思った事は忘れているから」
ぽんぽんと、小さな子供にするみたいに背中を叩かれ、私はそれで何故か納得して落ち着いた。安心してしまって、体の力を抜いて、身を任せ、預けるくらい。ほっとして、顔からもたれてしまった。
「そう、それでいい。な
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