12話目 成長(後)
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た“たきのぼり”を思いおこす。水を体にまとい、まるで滝を登るかのような勢いで相手に突っ込む技である。
グレイは悩む。“たきのぼり”を覚えればギャラドスは間違いなく今よりも強くなる。しかし強くなれば制御できなくなった時のリスクは高まる。
グレイはギャラドスのトレーナーとして先輩であるゴンに、率直にたずねる。
「オレは……ギャラドスとうまくやっていけるんでしょうかね? ギャラドスを制御し続けられるんですかね?」
「それはワシには分からぬことじゃよ」
ゴンは即答でグレイの問いを退けた。そしてゴンは言葉を続ける。
「君は、自分のギャラドスをどう思っておるのじゃ?」
「どう思うか……? 戦闘狂で困った奴、あるいは恐ろしい奴……ですね」
「ほう? 困った奴で恐ろしい奴とな? ならば1つ質問しようかの」
質問、そう言ってゴンはグレイに問いかける。
「君がどうしてもギャラドスの扱いに困っているのなら、ワシらのジムで引き取って面倒を見ても良いぞ……と言ったら、君はどうするかね?」
グレイは少し考える。
確かに、グレイにとってギャラドスは困った奴であり、同時に恐怖の対象でもある。しかし、ギャラドスという存在をリセットしたいか? と問われてみると、それは違うような気がするのである。
(言う事は聞いてくれないし、正直に言えば怖いが……手放したいとは思わない。なんでだ? 愛着があるからか? トレーナーとしてのプライドが、ギャラドスを育てられない自分を拒否してるのか? もしや捨てられるギャラドスがかわいそうと思ってるのか?)
自問自答するグレイだが、出てくる答えはどれも違うように思えた。
「オレは、ギャラドスを手放したくないです。でも、そう思う理由が分かりません」
「ほう? 君はその理由に気がついておると思ったが……ならばヒントじゃ、君がジムバッジを手に入れることができたのは誰のおかげじゃ?」
「そりゃあポケモン達。ビビヨン、チョロネコ……今は進化してレパルダスだけど、そしてKK……あ!」
「なにか分かったかの?」
「KKは、戦闘狂で困った奴、そして恐ろしい奴。だけど強くて頼りになる奴でもある。KKはオレに多くの悩み事を作り出すけど、代わりにオレもKKに力を貸してもらってるんだ」
グレイの答えに、ゴンは満足そうにうなずいた。
ゴンが口を開く。
「君がギャラドスを制御し続けられるか、それは分からない事じゃ。しかし、ギャラドスの怖さばかりに目をやっていては、君のギャラドスの本質を見失ってしまうのじゃ」
そしてゴンは再びグレイに問いかける。
「君のギャラドスに“たきのぼり”を覚えさせるかの?」
「はい! お願いします」
ギャラドスが強くなれば、制御できなくなった時のリスクは強まってしまう。しかしギャラドスの力が強くなる
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