12話目 成長(後)
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く引き分けになる……あと残るのは……)
グレイにとっては、あまり指示したくない技が残った。しかしこの際仕方がない。
「KK“にらみつける”!」
“にらみつける”は相手の防御力を下げる技である。直接の破壊力は無いので、グレイが指示しない限り、破壊好きのギャラドスが自主的に使うことは無い。
グレイは“にらみつける”を指示したのだが、グレイのギャラドスは指示を無視し、“にらみつける”を使おうとしない。
「ほっほ、ずいぶんと扱いに苦労しているようじゃな」
ゴンがそう声をかけてきた。
「……KK! “にらみつける”!!」
グレイが言葉を強めて言った。ギャラドスは露骨に不機嫌そうな顔をしたが、しぶしぶ技を発動しようとした。
「ギャラドス“たきのぼり”じゃ!」
“たきのぼり”は、水タイプの攻撃技である。水を体にまとい、まるで滝を登るかのような勢いで相手に突っ込んで攻撃する技である。
グレイのギャラドスが“にらみつける”を発動するが、ゴンのギャラドスがまとう水に打ち消されてしまう。そのまま“たきのぼり”が直撃し、グレイのギャラドスが吹っ飛ぶ。
(“にらみつける”はダメだな……例え使うチャンスがあったとしても、今のままじゃKKが嫌々に使うせいで発動が遅いから間に合わない。もし“にらみつける”を使いたいなら、KKに好きなだけ暴れさせて機嫌を良くしてからじゃないと無理だな……)
グレイは、自分のギャラドスに好きなだけ暴れさせることを決めた。どのみちグレイには、 “にらみつける”で相手の防御力を下げてから戦う以外に状況を打開する策は思いつかなかった。
グレイはしばらくの間、自分のギャラドスが好きに暴れるのを見守っていた。ギャラドスの機嫌を良くすることで“にらみつける”の指示をスムーズに聞いてもらうためである。
「君はギャラドスに指示をしないのかのう?」
自分のギャラドスを見守るだけのグレイを見て、ゴンがそう声をかけてきた。
「今はまだ、チャンスを待っているんですよ」
「何か狙いがあるという事かの?」
その問いに対してグレイは答えない。するとゴンは違う話を始める。
「それにしても……君はとてもすごいトレーナーじゃよ」
グレイはゴンの話の意図が分からず考える。
(すごいトレーナー……? まだ勝負に勝ってもいないし、ギャラドスには指示を無視されるし……あの爺さんは何を見てそう思ったんだ?)
そんなグレイの思考を読んだように、ゴンが口を開く。
「あれだけ暴れるのが好きで、自分の欲望に忠実なギャラドスは中々おらぬよ。しかし、君はそれを制御しておる。中々できることではないのう」
「……制御できてないですよ。言うこと聞いてくれないし」
「いやいや、あのギャラドスのトレーナーが君だからこそ、あの程度で済んでいるのじゃ
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