淀み
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「そしてそこ、制裁!」
「ふぎゅ!?」
生かしておこうか逃がそうか、と考えているうちにうちの阿呆の居眠りがバレたらしい。これまた馬鹿らしいほどあざとい悲鳴を出して起きる彼女にタイガーがしかめっ面で説教をすると、同級生が眠たげな返事を返す。それだけのことで、教室は笑いに包まれた。皆馬鹿の所業が面白くて仕方がないのだろう、全くの同感である。
さて、笑いに現を抜かしている暇はない。この難問どもを解かねばならないのだから……。
「おうコラ、文句の問題飛ばして進めるな!」
「いった!?」
別にそれは個人の自由じゃないのか。僕は突き上げる怒りを、抑えかねていた。
◆◆◆
夜の帳は再び開かれる。自然の摂理であるそれが訪れるのは必然である、もし逆らってそれを逆転できる存在があるとすれば、正しく攻略不能な存在にも等しく扱われるだろう。六章……正門……不夜……うっ頭が。
さて僕が散歩好きであることは百も承知であろう諸君らだから、僕が今どこにいるかも察してくれていることだろう。そう、僕は星空の元にいる。住宅街にいるわけではないから回りにLEDライトの光が少なく、煌めく星々がよく見える。
「あの子、遅いわね……。ちょっと、なんで一緒に来なかったのよ」
「僕だってあいつと四六時中一緒にいるわけじゃない。金魚の糞か何かと思われているのなら心外だ」
校庭には二つの影がある。一つは僕と、もう一人は魔術師(笑)である遠坂凛氏その人である。理由は遡れば面倒くさくなるから回想描写はしないけれど、イリヤスフィールがこの魔術師にラブレターに偽装した脅迫状を送りつけられ、今この時間に来るようにと指定されていたのだ。
それを見た僕が同行を提案、もちろんステッキルビーだかエメラルドだかに警告はされたがそれしきで引き下がる僕ではない。強く出たのが項を制したのか無事同行する権利を得た僕は指定された通りにここに在るっていうわけだ。
「それで?」
「は?」
「私はあんたを確かに巻き込んだけれど、流石に無力な子供まで駆り出そうとは思わないわ。あんたも無駄に賢いからそれを分かってる、のに来たってことは目的があるんでしょ。例えば、聞きたいことがあるとか」
「……」
僕は時計塔というものが何かはわからない。そもそも彼女の言っていることが全て嘘である可能性だってあるのだ、首席であるという部分も含めて。しかし、その部分だけに関しては今疑いが晴れた。この頭の回転の速さだけは嘘として騙せるようなものではない。
同行を提案した理由は二つある。一つはカード捜しなのだから人数はあった方が安全でかつ早く済むだろうという考えから。そしてもう一つは、個人的な理由だ。
彼女が本当に魔術師であるというのであれ
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