僕
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だとかそういう意味じゃ決してない。寝てみる夢のこと。生まれて10年、これだけがどうしても飽きないのだ。
「いい加減にしよう、そろそろお前も僕離れするべきだよ。いつか雛鳥は大きくなり、巣立ちするべき時が来る。お前にとってそれは今なんだ」
「雛鳥はどっちよ、私的にはそろそろそっちが自立するべきだと思うんだけど。このままじゃ、ろくな大人にならないよ?」
「ろくでもない大人にだって稼げる仕事がある。僕はそういうものに永久就職するんだ」
「反面教師のいい見本というか、既にろくでもないというか」
「つまりそのお陰でお前はまともに育ったんだぞ。つまり控えめに言って僕を養う義務があるんじゃないか?」
「耄碌になるにしても半世紀後にしてよね。ま、まぁ結婚には反対じゃないっていうか、賛成っていうか……」
「(常々思ってたけれど、こいつほんと趣味悪いな)」
昼下がりの日光を照り返し幽玄と揺らめく銀の頭髪、芸術品である陶磁を思わせるような真っ白な肌、ザクロのような瞳、そして作られたかのような整った顔はどこか品性というものを感じさせる。指一本だけで見ても、隣を歩く彼女が人間美術品であることは明確であった。
これが僕の友人、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。僕と違って長ったらしく、そして縮めやすい名をもつ彼女は仲のいい友人は皆イリヤというあだ名をつけている。
彼女は美少女と呼ぶに相応しい人間ではあるがときめき思い出ゲームのようなメインヒロインと違って頭はあまりよろしくない。いや、学校内での成績は上位に食いつくぐらいには知識があるのだが、どうも突発的なことに弱かったり、ド忘れなどが多いらしく、正直勉強面ではそれほど信用はされていないらしい。
そのため、彼女の代わりに頭を使う担当は何かと僕とされている。昔公園で遊んでいたというだけでここまで仕事を押し付けられるとは、人生何があるかわからないものである。
だからこそ彼女が僕に対して恋心を抱くような、そんな過ちを犯してしまったのだが。
「ボソボソ言うなって、聞こえないじゃん」
「な、なんでもないなんでもない!」
本人はこれで誤魔化せてると思っているのだから重症だ。
さて彼女、イリヤスフィールが昼上がりの放課後に僕の部屋にきてこうしてただ駄弁っているだけなのには理由がある。
友人がいない? まぁそれは一種の真理をついているのかもしれないが本人が可哀想なのでその可能性から今は目を剃らすことにしよう。
お隣さんだから? 残念僕の小屋とイリヤスフィールの豪邸は結構な距離が空いているから、僕の家に向かうのはアインツベルン家では許可制になるほどだ。
正解の鍵は、僕の趣味と彼女の趣味にある。
「ね、そろそろ見せてよ!」
「ん。
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