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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百六十七話 微笑、覚悟、野心……
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メルカッツ提督が答えた。
「はっ、精一杯努めさせていただきます」

「……おめでとうございます!」
「おめでとうございます!」
「おめでとうございます! メルカッツ提督」

一瞬の沈黙の後、ビッテンフェルト提督が大声で祝福した。俺もそれに続く、そして皆が続いた。帝国の宿将がそれに相応しい地位に就いた。帝国にとって祝福すべきことであるのは間違いない。司令長官が嬉しそうに頷くのが見えた。

会議が終了したのは十八時に近かった。司令長官が会議室で言っていた内乱の宣言が政府から出されたのはさらに三十分後の事だった。

宣言はブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯が皇帝の女婿で有るにも関わらず反乱を起した事を厳しく非難し、十月十五日の勅令を否定するかのような行動はいかなる意味でも許されることではないと断言した。そして帝国が内乱状態に入った事を宣言し、軍に対し内乱鎮圧が命じられた。


帝国暦 487年 11月23日   宇宙艦隊司令部   ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ


第五十七会議室での会議が終わると私とケスラー提督は司令長官に応接室にと誘われた。好都合だった、私も尋ねなければならないことがある。誘われなければ、こちらから伺うところだった。

「それにしても驚きました。小官が宇宙艦隊副司令長官などとは」
「私は最初からメルカッツ提督には副司令長官をと思っていたのですが」
「念願がかなったということですな」
「そうですね、ケスラー提督の言うとおりです」

応接室に司令長官とケスラー提督の笑いが満ちたが、自分は素直には喜べなかった。目の前の司令長官が自分を高く評価し、敬意を払ってくれている事は分かっていた。副司令長官にと考えているのも分かっていた。しかし本当にその日が来るとは……。

「司令長官、小官は何時まで本隊の指揮を執るのでしょうか?」
「そうですね、……大体二ヶ月程度と考えてもらえば良いかと思います」
「二ヶ月ですか」
私の言葉に司令長官は頷いた。

「シュムーデ提督達は今、カストロプを過ぎマリーンドルフに向かう所でしょう。彼らにはフェザーンまで行って貰う事になります。フェザーンまで大体一ヶ月程度、作戦の開始から終了、そして私が本隊に合流するまでさらに一ヶ月、そんなところでしょう」

はて、彼らの任務は補給線の確保だけではないのか? 思わずケスラー提督と顔を見合わせた。ケスラー提督が私の疑問を口にした。
「閣下、彼らの任務とは一体……」

司令長官は横に置いてあった書類袋から書類を取り出した。そしてこちらに向けて差し出す。『第一次フェザーン侵攻作戦』……。ケスラー提督ともう一度顔を見合わせた。

「彼らはそれに従って行動しています」
司令長官の声にもう一度計画書を見る。
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