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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百六十七話 微笑、覚悟、野心……
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ンシュバイク公、リッテンハイム侯に答えたでしょう。敵を欺くには味方からと言います。心配をかけた事、悪く思わないでください」

彼方此方で頷く姿が見える。確かにそうだろう、司令長官が死んだとなれば貴族達も我先に反乱に与するに違いない。一度の内乱で全てを終わらせようということか。

「閣下、あまり心配はさせないでください。小官はもう年なのです。老人の心臓は労わっていただかないと」
周囲から笑いが起こった。珍しい事だ、メルカッツ提督が冗談を言うとは。司令長官が無事だったのでつい軽口が出たのかもしれない。

「メルカッツ提督、未だ老人と呼ぶのは早いでしょう」
「そうです、まだまだお若い」
「いやいや、クレメンツ提督。若い若いと思って油断していると意外な所で身体が弱っている事が分かる。卿も気をつけるが良い、それほど先のことではないぞ」

生真面目な口調だった。冗談ではなかったのかもしれないが、その言葉にまた笑いが起きた。司令長官も穏やかに笑っている。
「ところで、皆さんは今日何が起きたか分かっていますか?」
「……色々と噂が流れてはいますが……」

ロイエンタール提督の言う通りだ、色々と噂が流れている。メックリンガー、ケスラーが調べてきたようだが本当に分かっているのはブラウンシュバイク公が反逆を起した事、司令長官の暗殺事件が起きた事だけだ。

「先ず夜明け前のことですが、フロイライン・ブラウンシュバイク、フロイライン・リッテンハイムが何者かによって攫われました」
「……」
皆の視線が交わる、頷くものも居た。近衛に内通者がいた、その事を考えているのかもしれない。

「お二人を誘拐したのはランズベルク伯アルフレットとその同調者と思われます」
ランズベルク伯? その名前に皆が不審そうな表情をした。ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯と親しいという訳では無かったはずだ。その男が誘拐の首謀者?

「閣下、それはブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯の命令によるものでしょうか?」
ロイエンタール提督の質問に司令長官は微かに首を傾げた。

「いえ、それについては何とも言えません。有りうる事だとは思いますが、確証は取れていないようです。ただ、何らかの形で繋がりはあると思います」
「……」

「後は私の暗殺未遂事件とブラウンシュバイク公の決起宣言です。これで帝国は内戦状態に入った事が確定しました。間も無く帝国政府より帝国が内乱状態に入った事の宣言と我々に対し討伐命令が出されるはずです」
「……」

「出撃は十二月一日とします。既に準備は出来ているとは思いますが再度出撃に備え、準備の確認を御願いします」
「はっ」

皆力強く答えた。一週間後か、待ち遠しい、今から腕が鳴る。司令長官の言葉に会議室の中はまた緊張感に満ち
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