六十二話 百鬼夜荒 伍
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詠自らも動かねばならなかった。
「……軍神――――八坂 神奈子、ですね?
なるほど…日向将軍が好敵手とお認めになるだけの事はあります。
しかし浅はかですね!強襲部隊が我々だけとお思いですか?」
月詠の言葉に多少の動揺を見せた覇夜斗だったが、今度は逆に月詠に対し挑発的に言葉を吐く。
しかし――――
「全部で五部隊だろう?神奈子の予測も五・六部隊……私達が捕捉した部隊数も五だったぞ。
勿論、此処以外の部隊にも大和の軍を差し向けている――――残念だったな」
覇夜斗を小馬鹿にするかの様に嘲笑を浮かべる月詠に対し、彼女の言葉を聞いた覇夜斗は顔に手を当て俯き震えている。
それはそうだろう、入念に準備した策が予知の如く看破されるなど誰が予想出来ようか。
打ち拉がれるのも無理は無い事だろう――――打ち拉がれていれば、だが。
覇夜斗の身体は震えは徐々に大きくなり、そして――――
「…ハ…ハハ…アハ……アァァァッハハハハハッ!!
なるほどなるほどッ!八坂 神奈子ッ!正直感服です!感動ですよッ!その戦術眼、実にッ!実にお見事ですッ!!」
突然天を仰ぐかの様に顔を上げ高く大きく狂った様に笑い声を上げる覇夜斗のだが、その瞳からは理性の色は何一つ失われてはいなかった。
そして覇夜斗は鼻眼鏡押し上げながら、勝ち誇った表情で月詠を始め、大和の軍勢へと視線を戻し口を開く。
「誤解が無い様に言いますが、正直に感服していますよ、えぇ本当に。
しかし……しかししかししかしッ!此方の戦術は読み切れても――――戦力までは読み切れはしなかったようですねッ!!」
覇夜斗が台詞と共に右手を天に向け翳すと同時に、彼の後ろに控えていた者達が身に纏っていた外套を一斉に脱ぎ捨てる。
その外套の下から現れた者達を見た月詠の表情は驚愕に染まった。
二m近い体躯に、月明かりで鈍く輝く黒色の全身鎧を思わせる姿形。
流曲的な西洋鎧の様なその身の胸元には、真紅の灯火を宿す円形の鏡の様な装飾があり、体全体を赤い光線が奔り幾何学模様を描いている。
そうそれは百鬼丸の拠点の一つで発見されていた物と同じ――――デュラハン。
「此処にあるものを含め、総数二百五十体のデュラハンッ!止められるものなら止めてごらんなさいッ!!」
声高に叫ぶ覇夜斗に対し、月詠の行動は早かった。
彼女が前方に手を翳すと同時に、覇夜斗を始めデュラハンの群れを照らしていた月光が突然何かに遮られ彼等を暗闇が染め上げる。
何事かと天を仰いだ覇夜斗の目に飛び込んで来たのは、天を埋め尽くすかの様な巨大な岩肌。
|彼等《熊
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