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黄金バット 第十一話 溺れている子供を救え
第三章

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「絶対に」
「はい、わかりました」
「それは何としてもです」
「急ぎましょう」
「何とか」
「そうだ、間に合わせるんだ」
 こう強く言ってでした、知事さんは。 
 ご自身が乗っているヘリも自衛隊のヘリも急がせてご家族のお家に向かいました、ですがあと少しというところで。
 濁流がこれまで以上に強くなりました、そしてです。
 お家を今にも飲み込もうとしました、ですがここで。
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」
 何処からか笑い声がしました、その声を聞いてです。
 知事さんははっとしてです、お役人さん達に言いました。
「この声は」
「はい、まさかと思いますが」
「黄金バットですか」
「黄金バットが来たのですか」
 お役人さん達も言います、そして。
 あるお役人さんがまだ立っている電柱の一本を指差してです、知事さんと他のお役人さんに言いました。
「あの電柱!」
「黄金バット!」
「来てくれたのか!」
 見ればその電柱の上にです、黄金バットはいつもの様に両手を腰に置いて仁王立ちをしていました。そしてです。
 颯爽とマントをたなびかせてご家族のところに戦闘機よりも速く飛んでです、そのうえで。
 お父さんも娘さんもそれぞれ両脇に抱えて救出してでした、あと一歩のところまで来ていた知事さんのヘリのところまで来てです。
 黄金バットはまだ閉められているヘリの扉を額から出した念波で空けてです、親娘を知事さんのヘリの中に置いていきました。
 そしてそのまま背を向けて去ろうとしますが知事さんは黄金バットに声をかけました。
「君はただ人を救うだけでいいのかい?」
「・・・・・・・・・」
 黄金バットは何も語りません、無言で頷くだけです。
 その黄金バットにです、知事さんはさらに尋ねました。
「だから今もこのまま去るのか」
「・・・・・・・・・」
 やはり返事はありません、そのままです。
 何処かへと飛び去っていきます、ですがその時に親娘の方を振り返ってそのうえで消え去ったのでした。
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