第五十二話 VRMMOの本当の姿
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すれば、あの月まで飛んで行くことが出来る。
やがて他のゲーム世界でも、それぞれ一つの惑星として設定され、星の海を渡る連絡船が行き来する日が来る。
何処までも飛べる。 何処までも行ける。 けれど、絶対に行けない場所もある。
私は雲海を落下しながら、両手で体を抱きしめる。
その寂しい理由は解っている。 今日、私の兄・和人に連れて行ってもらったパーティーのせい。
とても楽しかった。 この世界でしか会う事の出来なかった、新しい友人たちと初めてリアルで顔を合わせ、色々な話をした。 あっという間の時間だった。
でも、私は感じていた。 彼らを繋ぐ、目には見えないけれどとても強い、絆の存在。
今は無い《あの世界》、浮遊城アインクラッドで共に戦い、泣き、笑い、恋した記憶。
それは、現実世界に帰ってきてもなお、彼らの中で強い輝きを放っている。
あのパーティーで、お兄ちゃん達が遠くに行ってしまうような気がした。
あの人たちの絆の中には、私が入ってしまったらいけない。 そんな気がしたのだ。
私には、《あの城》の記憶がないのだから。
このような事を考えながら、流星のように落下を続けた。
集合場所は世界樹の上部に新設された街、《イグドラシル・シティ》なので、そろそろ翅を広げ、滑空を始めないといけない。
でも、心を塞ぐ寂しさのせいで、翅が動かせない。
突然体が何かに受け止められ、落下が止まった。
リーファ「ッ!?」
驚いて目を開くとそこにコジロウ君の顔があった。
コジロウ「時間なので迎えに来ました。 何処まで昇っていくかと思ったら今度は落ち始めたんで心配しましたよ。」
私は笑みを浮かべると、翅を羽ばたかせ、コジロウ君の腕の中から抜け出した。
この新しいアルヴヘイム・オンラインを動かしている運営体が、レクトプログレス社から移管された全ゲームデータ、その中にはソードアート・オンラインのキャラクターデータも含まれていた。
運営体は元SAOプレイヤーが新ALOアカウントを作成する場合、外見を含めてキャラクターを引き継ぐか選択出来るようにした。
日頃一緒に遊んでいるシリカちゃんやアスナさん、リズベットさん達は、妖精種族的特徴は付加されたものの、基本的に現実の姿に限りなく近い外見を持っている。
でも、キリト君やサクマさん達は選択枠を与えられた時、サブアカウントを作った。
凄まじいまでのスターテスを捨てたアカウントとそれを残したアカウントの二つを作ったのだ。
私はその理由が知りたくなり、同じくホバリングしながらコジロウ君に聞いた。
リーファ「ねぇ、コジロウ君。 何で、サブアカを作ったの?」
コジロウ「あの世界のコジロウの役目は、もう終わりました。
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