第五十二話 VRMMOの本当の姿
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以下だから大丈夫だ。 明日は休日だしな。」
拓真「犯罪ギリギリじゃねぇか。」
和人「はぁ〜、行くか。」
今日の夜は長くなりそうだ。
〜side out〜
〜リーファ side〜
漆黒の夜空を貫いて、私は飛翔していた。
四枚の翅で大気を蹴り、空気を切り裂き、何処までも加速する。
以前なら、限られた飛翔力で最大限の距離を稼ぐため、最も効率のいい飛行手段など、色々なことを考慮しながら飛ばなくてはならなかった。
しかしそれは過去の話。
今はシステムの枷は存在しない。
世界樹の上に空中都市は無かった。
光の妖精アルフは存在せず、それはすべて偽りの妖精王の嘘であった。
この世界が一度崩壊し、新たに生まれ変わったことにより、この世界を調整する者たちが、あらゆる妖精に永遠に飛べる翅を与えたのだ。
私はこれで十分だった。
私は集合時間より一時間早くログインし、もう二十分近くも漆黒の夜空を飛翔し続けた。
ALOの飛行は根性の一つ。
恐怖に打ち勝ち、精神力を保ち続けること。
だけど大抵のプレイヤーは、恐怖と精神的疲労に負けて減速していくことになる。
先週開かれた《アルヴヘイム横断レース》では、私とキリト君とサクラさんが凄まじいデットヒートを演じた挙句、僅差でゴールに飛び込んだ。
負けてしまったけどね。 一位はキリト君だった。
あの時は、楽しかったな。
私はそれを思い出し、飛びながら苦笑した。
ああいうイベントで飛ぶのもいいけど、頭の中を空っぽにして、ただ限界の先を目指して、加速していくのが一番気持ちいい。
数十分の飛翔で、すでに速度は限界ぎりぎりの所まで到達している。
暗闇に包まれた地上は最早流れていく縞模様でしかなく、前方の小さな灯りが現れては後方に消え去っていく。
頭上では、巨大な満月が輝いている。
輝く満月目指して、舞い上がっていく。
雲海を切り裂き、聳そびえる世界樹の尖端に到着した。
もう少し、もう少し近づければ。
しかしこの世界の限界まで到達してしまった。
加速が急激に鈍り、体が重くなる。
これ以上の上昇は出来ない。
私は満月を掴むように片手を差し伸べる。
行きたい。 もっと高く。 どこまでも遠く、あの世界まで。
上昇速度がゼロになり、次いでマイナスになる。
私は手を大きく広げたまま夜空を自由落下していく、月が徐々に遠ざかっていく。
私は瞼を閉じ、微笑を浮かべる。
今はまだ、届かないけど、何時かきっと。
このアルヴヘイム・オンラインも、より大きなVRMMOの≪連結体≫に参加する計画があるそうだ。
月面を舞台にしたゲームと相互接続するらしい。
そう
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