第二十五話 外の世界へその一
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第二十五話 外の世界へ
優花にだ、副所長は確かな声で言った。
「もうね」
「訓練は、ですか」
「終わりよ」
「じゃあ私は」
「ええ、もう不安がないと言えば嘘になるけれど」
だがそれでもというのだ。
「もう殆どね」
「大丈夫ですか」
「ゼロコンマ幾つ位の不安が残るけれど」
「もう殆どですね」
「大丈夫よ」
副所長は穏やかな言葉でだ、優花に話した。
「だからね」
「ここを出てですね」
「十日後になるわ」
「十日ですか」
「そう、ここを出てね」
そのうえでというのだ。
「アパートに入ってね」
「そのアパートからですね」
「学校に通うことになるわ」
「長崎その学校にですね」
「制服や教科書、体操服の用意は出来ているわ」
そうしたものもというのだ。
「学校にもお話はしてあるし」
「だからですね」
「安心してね」
そうしてというのだ。
「学校に行ってね」
「私のことを知ってる人もいますね」
「校長先生はね」
その学校のというのだ。
「ご存知よ、けれどね」
「その校長先生はいい人ですか」
「そうよ、信頼出来る人よ」
そうした人物だというのだ。
「絶対にね」
「だから私もですね」
「通えるのよ。学校の先生は問題のある人が多いけれど」
素行、人格といった面でだ。日本の教育の深刻な問題はまず教師に問題があるからではないであろうか。
「その人は確かな人よ」
「だからですね」
「そのことについても心配はいらないわ」
「私のこともですか」
「知っていてね」
そのうえでというのだ。
「守ってくれるわ」
「そうした人だからですね」
「貴女も預けられるの」
「それじゃあ」
「学校のことは安心して」
教師のことはというのだ。
「校長先生だけがご存知だから」
「わかりました」
「まあ学校の先生はマスコミと同じだけおかしな人が多いけれど」
そして悪質である、やはり同じだけ。
「大丈夫だから」
「校長先生がしっかりしているからですね」
「信じていいわ」
その校長先生はというのだ。
「貴女は学校に事前の挨拶に行って」
「そしてですね」
「そう、アパートに入る用意もして」
「忙しくなりますね」
「新しい生活のスタートよ」
その時に来ているというのだ。
「この長崎でね、それとね」
「それと?」
「学年は二年生よ」
「二年生ですか」
「ええ、留年はせずにね」
そのうえでというのだ。
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