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剣士さんとドラクエ[ 番外編集
魔法を使ってみたい!前編
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弱いから簡単に奪えるはず。それがどれくらいあるかでいろいろ試してみたいことも変わるんだよね!」

 そりゃあもうトウカはキラキラした目で俺を見上げている。腕を壁に付けば壁ドンが成立する体勢で。ちなみにエルトがこの件の監督者なのか……それとも唯一のストッパーのつもりなのか、なんとも申し訳そうな顔でこちらを伺っている。

 そんな顔するぐらいなら止めろよ。宿屋で人様に迷惑かける気か。トウカ絡みなら爆発ぐらいなら起こっても俺はなんも不思議じゃねぇと思ってるんだが。壁が爆発したらどうするんだ。物理的に。

「今日もククールのベホマで沢山助けられたよ、いつもありがとう。って事は魔力も減ってるよね?出来るよね?」
「あー……まぁ、な」
「もちろんタダとは言わないからさ、何かして欲しいことがあったらやってあげるよ!私のマッサージとか効くよ!」
「いえ遠慮します」
「そう?」

 マッサージ、と聞いた瞬間に部屋の入口にいるエルトが真っ青になってものすごい勢いで首を振った。つまり「効く」とはそういうことなんだろう。砕け散るのは俺の方だろう。主に骨が。死んじまう。

 トウカが俺の背に跨り、乗っかって……とピンク色の妄想の世界に羽ばたく前に俺にも簡単に背骨をへし折られる想像ができてしまった。えいっと可愛い掛け声とゴシャァ!という効果音の組み合わせ、教会での目覚め……そこまでは余裕だった。

 ……やれやれ、こんな相手に一目惚れとは、恋愛とは恐ろしいもんだな。

「差し支えなかったらでいいんだが……」
「ん?」
「その、声を変えずにちょっとばかり喋ってくれたらそれでいい」
「そんなんでいいの?」
「俺にとってはマホトラなんてその程度のことだからな」

 いつの間にかエルトのとなりに現れたゼシカが紙にいい調子!と書いて応援してくれているが、ちょっとでもそちらに意識をやったらどうなるかわからないので、すまないがスルーさせてもらう。……面白がるのはやめて欲しいんだが。俺の心臓と胃が壊滅的なダメージを負ったらどうしてくれる……。

 するとにっこり頷いたトウカがしゅるりと首に巻いていたチョーカーを外した。そういえば、傷跡が露出するんだったな、レディに対して迂闊だったか。だが心配する前にただの布の、代わりを巻き付けた様子を見て安堵する。

 しっかし……何の変哲もない布だ。もう少し可愛げのあるものでも贈るべき、だろうか。

「……あ、あー。これでいいかな?」
「ありがとうございます」
「なんでさっきから敬語なのさ?」

 これだ、これ。可愛い。甘い声、高い声。ほんの少し年下とは思えない柔らかい声だ。腰に手を当ててむくれる顔は十八歳には見えないし、年下のゼシカよりも幼く見える。そしてこの高い声。声だけ聞いたら間違いなく俺はロ
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