109話 満身創痍
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かられていること、だろうか。
申し訳ないけどここまで一緒に魔物の大群に巻き込まれてきたんだから一緒になんとかしよう、今回も!
賢者の子孫をこれ以上死なせるわけにはいかないんだ!そしてメディさんは私たちの命の恩人であり、そうでなくたってこんなにも温かい人を死なせるわけには……っ!
投げ捨てた剣を拾うこともできないほどのダークウルフェンの数。忌々しい遠吠えが響く事にますます数が増えていく。仕方なしに手袋から久しく使っていなかった双剣を取り出し、襲い来るやつらを斬り捨てる。それでもちっとも間に合わなくて、腕を、足を、めちゃくちゃに噛まれる。関係ない、そんなこと!
あっちもこっちも乱戦だ。メディさんとグラッドさんを結界に逃がそうとした手酷く噛み付かれ、ヤンガスがグラッドさんから引き剥がされる。それを見たエルトが素手のままグラッドさんを抱え、ぶん投げる。……手荒すぎる。
でもその甲斐あってかグラッドさんは無事に安全地帯に逃げられたよう。その間にもククールのベホマラーが何回も炸裂し、噛み傷や引っ掻き傷がみるみる癒される。けれど、間に合ってはいない。
傷は蓄積していく。熟練した回復魔法の使い手の全力もってしてもこの場は敵が多すぎるんだ。だんだんと、メディさんを守ることは出来なくなっていく。
痛みか怒りか、むちゃくちゃに暴れるレオパルドの尻尾にぶち当たった私は肋骨が弾けたかと思い、気づいた時には地面に叩きつけられていた。同じく吹っ飛ばされ、隣で伏せているのは、ゼシカ?!彼女を抱き起こす。あぁ良かった、起きれるみたい。
起き上がり、また私は目の前の獣の肉を抉る。いつもは腕がイカレない程度のことは考えているからこうはならない。でも、今はそんな事考えていないから……剣はずぶりと奥まで刺さる。柄なんて無視。腕まで刺さるし、斬り抜けば腕でも肉を裂く。でも足りない。力が足りない!
むちゃくちゃな攻撃にギシギシと軋む体、勢いが少しでも衰えれば引き倒そうとのしかかる獣。それでも関係ない、力で無理やりやつらを吹き飛ばして斬りかかる。激情のまま真っ二つに両断してやる。蹴り抜けば脳みそが散る。そうすれば敵は死ぬ。横に動くなら五匹はすり潰さないと、生き延びれやしない!
あぁ、でもこんなにだるくなったのは、初めてかも。どこか世界が遠い。脳内麻薬はとっくに限界みたいで、どこもかしこもめちゃくちゃだ。あっちは大丈夫かな。エルトとヤンガス二人が守るメディさんの方を見……て……。
「やめ……っ!」
久方ぶりの大怪我で、満身創痍の私の手なんて届かない。それでも真っ赤な手を伸ばした先にいたのは、……。
リーザス像の記憶の中のサーベルトさんのように、オディロ院長のように、杖で串刺しにされて、崩れ落ちるメディさんの
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