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非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第30話『部長』
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訳だ」

「いや、彼らには『準備』を色々と手伝って貰ったし、アンタの敵じゃないと言えばそれは間違いかしら」

「『準備』?」

「そう『準備』。このゴム手袋もその一部だけど、もっと大きい『準備』を、ね」


もったいぶるように茜原は言う。終夜は、それが示すのは自分を苦しめる道具だと判断し、探りを入れ始める。


「その準備とやらは、もう終わってる訳か?」

「ええ。ポチッとすればすぐにでも」


その表現を聞いた終夜は1つの仮説をたてる。
それは、彼女が用意したのは『機械』だということだ。
完全に推測なのだが、「ポチッと」と言った辺り、何らかの装置の起動を意味しているはず。そして、それで撃沈させる算段なのだろう。


「面白ぇ。だったらさっさとやってみやがれ」

「すぐに切り札を切るのはもったいないじゃない。まずはじっくり楽しみましょ」


横目で時計を確認。残り時間は40分余りだ。
それを知った終夜は指をポキポキと鳴らし、拳を突き出して高らかに叫んだ。


「手加減してっと、後悔すんぜ!」







「はぁ…はぁ…」


廊下の壁に手をついて休むのは、初めてではない。
もうかれこれ10分は走っているのだが、仲間どころか敵さえ見当たらない始末だ。
だからこんな無防備に呼吸していても、狙われる事なんて無かった。


「暁君、副部長、どこ…?!」


探し相手の名前を呟きながら、また走りを再開する。
廊下の端から端、階段の上から下・・・普段運動をしない俺にとっては、過酷を極めた。


「やばっ、そろそろ横腹が…」


長距離走るとよく起こる横腹の痛み。それが起こった俺は、涙目になりながらも走りを続行する。

だがついに、その努力は報われた──



「はぁ。さっきの子の耳ってホントどうなってんだろ…?」

「……副部長!」


階段の踊り場。上から降りてきた俺に対し、下から上ってきたのは副部長だった。
ブツブツと何かを言っているようだが、そんな事はお構い無し。俺はすぐさま本題を切り出した。


「…三浦? どうしたの、そんなに息を切らして・・・」

「部長が大変なんです! 一緒に来てくれませんか?!」


部長の名前を出した途端、副部長のキョトンとしていた顔が真顔になる。


「え、あいつが? それってどういう状況なの??」

「科学部です。4人全員で部長の相手をしてるんです!」

「!!」


副部長は驚いた様子を見せ、直後「マズい…」と一言。
きっと茜原さんの存在を知っていて、何らかの思い当たる節が有ったのだろう。
副部長は少しだけ考えた様子を見せると、俺に言った。



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