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東方叶夢録
幻想郷
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ゅうもーく。ここで新入りの紹介をするわよー」
ざわざわと徐々に叶夢に注目が集まる。
「彼はさっき幻想入りした冬宮叶夢よ。はい叶夢、自己紹介」
急にこちらに視線が集まる。別段あがり症でも無いのだがこの時はやけに緊張していた。恐らく当てられる気配の強さが人のそれとは比較にならないからだろう。それに加え面子の異様さ加減が叶夢のキャパを遥かにオーバーしていたのもあるかもしれない。
「冬宮叶夢、です。八雲さんに拉致されて来ました」
静寂。自己紹介をしたものの観察するような目は収まらぶとても居心地が悪かった。
「ちょっと叶夢、その言い方は酷くないかしら?同意の上じゃない」
その空気を破ってくれたのが八雲紫。叶夢は内心感謝しつつ対応する。
「確かに同意はしましたがあれは詐欺です」
「まだ言うのかしら。私は貴方の願いを叶えてあげただけよ」
「ちょっと」
八雲紫と叶夢の口論に口を挟んできたのは巫女。何やら怪訝そうな目でこちらを見ている。
「さっきのは本当なの?」
「ほんとですよ。拉致されたんです」
「そこじゃないわ、ああいやそこなんだけど。紫に連れてこられたのね?」
「同意の上よ」
「…ふーん。まあいいわ、あんたも参加するわけ?」
「はぁ、まあ。そうらしいです」
紹介するとは言われたが参加するかどうかは聞いてなかったので曖昧な回答になってしまった。
「あの!」
「わっ」
突然大きな声で詰め寄ってきたのは黒髪に赤い帽子を乗せた女の子。
「私、清く正しい射命丸と申します!冬宮叶夢さんでしたね、少しインタビューに付き合って下さい!」
「構いませんけど…」
「ぃよしっ!紫さん、借りてきますねー!」
「うわ、ちょっ」
強引に引っ張られる叶夢。女の子とは思えない力強さだった。

叶夢が射命丸に拉致られた後。
「さてさて、遅れちゃったけど少しの間飲ませてもらうわよ」
「待ちなさい、理由を聞かさない」
「そうよ紫。貴女が自分から出向いて幻想入りさせるなんてどういうこと?」
そう言ったのは巫女と月の薬師。
「宴会が終わったら話すわ。ら〜ん〜、私の分もおねが〜い」
しかし八雲紫は自らの従者の元にふらふらと逃げてしまった。

「……今すぐ終わりにしちゃダメかしら?」
「まあ、後で話すって言ってたし少しくらい飲ませてあげましょ」
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