幻想郷
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った。
「妖怪……さっきのは妖怪なんですか」
「そうよ。知能を持たない低級妖怪の1人。運が悪かったわね、美味しそうな人間を見つけたと思ったら近くにこの私がいたんですもの」
「美味しそうって……食べるんですか、人間を」
確かに口だったが。さっき食われて死んでいたかと思うと途端に寒気が走った。
「ええ、そうよ。妖怪と人間が共存する世界。それが幻想郷よ」
「俺の知ってる共存は食う食われるの関係じゃないんですけど」
それは共存ではなく一方的な、動物と餌のような関係ではなかろうか。
「そこはそれ、この世界のルールによって共存という関係が保たれているのよ。それより少し急がないと、終わってしまいますわ」
「何が終わるんです?」
「宴会よ」
「宴会ですか」
叶夢には縁のない言葉だった。打ち上げに参加した事はあるが宴会程金がかかるものではない。というかその宴会には妖怪も参加してたりするんだろうか。
「って、宴会会場に向かってるんですか?」
「そうよ、貴方を紹介しないとね」
そう言ってまた歩き出した。
が、叶夢は先程の事を忘れられず少しびくつきながら歩いていた。すると先を歩いていた八雲紫が近づいてきた。
「もう、そんなに怯えなくても大丈夫よ」
「あ…」
そう言って頭を撫でてきた。
「私がそばにいる限り貴方は死にませんわ。だって死なれては困りますもの」
「困る…?」
「ええ、とても困るの」
何が困るのだろうか。今の叶夢には到底わからなかった。
「もうすぐよ」
そう言われて少しすると何だか騒がしい音が聞こえてきた。どうやら宴会会場が近いらしい。
「神社…?」
見えたのは鳥居だった。この先から音や声が聞こえてくるので宴会は神社で行われているようだ。
「さ、これを登ったらすぐよ」
階段を登るにつれ徐々に音が大きくなってゆく。いったいどんな人物が宴会をしているのだろうか。期待と恐怖を混ぜこぜにしたような感情が叶夢を支配していた。
「あの」
「何かしら?」
「その宴会にはどんな人が参加してるんですか?」
「そうねぇ、巫女とか魔法使いとか、妖怪に神、鬼、蓬莱人その他色々ね」
「……」
何を言ってるのかわからなかった。巫女はわかるがその先からは明らかにフィクションのものだ。
「……やっぱり夢じゃないですかね」
「逃避はそこまでよ。着いたわ」
「あ、紫。やっと戻ってきたのね」
階段を登りきったところで話しかけてきたのは白髪の女性。また独特な服装をしている。
「おっそい。もう解散しようとしてた所よ」
そう言ったのは巫女服を着た女の子。
「えー、私はまだまだいけるぞー」
その後ろから声を上げたのは角が生えた女の子。
「ん?お前、誰だ?」
ここで初めて叶夢に興味を示したのが白黒の女の子。
「はいはい皆ち
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