幻想郷
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「幻想、郷?」
冬宮叶夢は混乱していた。目を開けたら全然違う場所にいたのだから。
「そう、幻想郷。貴方が言う現実から逃げた先がここよ」
ここで叶夢は思い出した。自分が現実から逃げたいと言ったことに。
「……夢?」
「夢じゃないわ、現実よ。と言っても貴方が知る現実ではないのだけれど」
「えーと…」
脳の処理が追いつかず思考が鈍くなっている。うんうんと唸っていると
「わかりやすく言うと異世界ね。貴方が知る世界より少し文明は遅れているけれど」
「それなんてファンタジーですか…」
異世界。それは小説や漫画、アニメなどで主人公が冒険するようなものだ。それらはフィクションであり現実には存在しないはずだ。
「決めつけはよくありませんわ。これは紛れもない現実。貴方が願った先の世界。信じられなくても現実は変わらないのよ?」
そういう八雲紫は微笑をたたえている。その顔を見て叶夢は悟る。
(ああ、気づいてたじゃないですか。この人は何処か得体が知れないと。この人なら何をやってもおかしくないと)
「……わかりました。一先ず受け入れます」
「そう、それでいいの。じゃあこれから」
「帰してください」
「一緒に…って、え?」
八雲紫は驚いたと言うように目をぱちくりさせる。当然だろう、人が急に異世界に連れてこられたら帰すよう要求するのが普通だ。
八雲紫は一瞬驚いた顔をしていたがそれもすぐに笑い言った。
「それはできないわ。だって貴方が望んだんですもの」
「今は帰りたいと望んでいます」
「1度契約したものは変えられませんわ」
「そんな…」
完全に詐欺の手口だと思った。
「諦めなさいな。さっき一先ず受け入れたって言ったでしょう?なら次は適応なさい」
「……」
どうやら本当に帰す気はないらしい。
「ふふ、そんな怖い目で見ないで。お姉さん悲しくなっちゃうわ。それじゃあ行きましょうか」
「行くって、どちらへ?」
「着いてくればわかるわ」
そう言って歩き出す八雲紫。この世界について何もわからない叶夢はついていくしかなかった。
「……ん?」
隣の茂みが揺れた気がした。何かと思って近づいてみると茂みから巨大な口が出てきた。
「アアアア!!」
「え」
食われる、そう思った瞬間その口は跡形もなく消し飛んだ。
「え?」
「全く、何してるの?叶夢」
いつの間にか叶夢の目の前にいた八雲紫。
「えっと、今大きな口がですね…」
「大丈夫よ、もう殺したもの」
あっさりそう言った。殺した。彼女が?どうやって?というかさっきのは何だ?様々な疑問が頭を巡る。
「そうそう、言ってなかったけど夜の幻想郷は危険な妖怪が出るわ。今後過ごす上で殺されないよう気をつけてね」
妖怪。現代の日本では時計やらなんやらで可愛いのが話題だがそれとは全くの別物だ
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