第1話
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る。
もう何十回も読んだ冒頭である。この冒頭では何もわからなかった。『焼け焦がす』というワードから戦闘描写があるのかなんて思っていたけれど、まったくに違う展開だったのをよく覚えている。あの時は驚いた。天使のヒロインが登場した時である。
天使が主人公の勉強机の上にあった主人公の知らない本からいきなり飛び出したのだ。
この展開の描写に想像力を高められた。今でもこんな展開は期待している。〔本当にこの本から天使でも出て来てくれれば、僕の人生にも花が出来るんじゃないか〕なんて思いながらに本を読み進め次のページをめくる。
この本を読んでいる時間は好きだ。何度読んでも初めて読んでいるような新鮮な気分になり、前に何度も読んだ展開で驚き、各話の終わりに気分が高揚する。
キンコ-ンッ カンコ-ンッ
チャイムが鳴り響く。僕は本に本屋で買った時について来たもう結構古いライトノベルの最新情報の乗ったしおりを挟み閉じると、本を机の横に掛けたカバンになおした。
いつの間にか担任だろう教師が教卓に立っている。
「えー。皆さん、おようございます。担任の『みぞた』です。」
担任は痩せた老人で、年は60を超えていてもおかしくなかった。その担任が黒板に文字を書く。
溝田 平作。
自分の名前だろう。
「改めまして、担任の溝田です。これから一年間、よろしくお願いします。」
と、教卓に両手をついて言った。
続けて、
「ちなみに趣味は読書、特に最近は若い子のよく読むライトノベルが好きです。」
「ッ!!!」
あまりの驚きに何かを吹き出し掛けた。
最初にさっきの本を読んだ時の驚きに勝るとも劣らない程である。
「やはり、あのような作品が日本の文化の重要な部分を担うのもよくわかりますね。皆さんも『ヲタクキモい』等と一線を置くのではなく、実際に読んでみればいいのですよ。」
何か、講義のようなものが始まってしまった。高校生活最初の一日の最初の授業がヲタクの偏見についてのことから始まるなんて、この学園生活大丈夫かな?
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