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第1話
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ると話し合っている生徒は少ない。各教室に目をやったが、皆自分の席で本を読んでいる。

始業式もまだなので、他の人間に話しづらいのか緊張しているのか、他の事に興味がないのか必至といっていいほどに座っている生徒は皆読書に勤しんている。




そんな同級生を見ながら、6つ目の教室。1年6組。

教室の中に入ろうとすると、一人の女子生徒から「おはよう。」の声が聞こえた。その声に驚いた僕は声の聞えた教卓近くの席に目をやる。


そこには本を読んでいる黒髪で眼鏡な女の子がいた。このクラスのクラス長がもし多数決で決まるなら、間違いなく彼女がなるであろうと思えるほどの委員長気質をオーラで感じる。

「お、おはよう。」

答えた。まあ、挨拶されれば返すのが常識だろうが、僕は普段そんなことはできない。咄嗟、彼女の方を見た瞬間に出てしまったのである。

彼女は僕の返事を聞くなり、ニコッと笑顔になるとまたすぐに読書を始めた。


まあ、普通に可愛いと思える子だった。




辺りに目をやりながらに教室へと入る。本来こういう時には教室の前の黒板に席順を書いているものだが、今黒板は真っ白で教室の皆はほとんどが席に座り読書の世界へと他界(ねっちゅう)している。


教室の右前。右の机の間2本目、前から机3列目まで来た。ここまで迷っているというのに他の生徒は一切僕にかまわない。あの子も最初に「おはよう。」と言ってからは完全に読書ワールドに引きずり込まれているようだ。




もう一度辺りを見回す。そして、机の上・横・椅子の位置から推測し、自分の席と思われる席に座る。

と、大げさに描写してはいるが、やっていることはしょぼい。ただただ、誰かの座っている席と誰かの座った跡のある席と誰かの荷物の置かれてある席を除いただけである。結果、席は一つしか開いていなかった。

(まあ、入学式の日だからなぁ〜。)
何てしょうもないことを心の中で言った後、僕も机の隣にバックを引掛けて、その中から本を取り出し読書に専念する。

本の内容は、上記しているはずの僕の好きなライトノベルである。タイトルは『世界の幸せを君に』と言うものである。

読み始める第1巻。小説はもう既に完結しており、最終は第12巻までだった。もちろん全巻2冊購入し、家に保存用と実際に読む用に分けて保存してある。

(最後の方で主人公はどうなったんだっけ。)
と、家にある最終巻を思い出しながら思う。確か最後は側にいた天使に恋をしてしまったんだけど、天使との恋が実るはずもなく天使は天界に帰って主人公は一般人(ノーマル)になったんだっけ。

第1巻、始め。

朝日は焼け焦がす勢いで差している夏の日。今日七月三十日・・・


と小説が続いてい
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