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第1話
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上靴に履き替えた僕は2,3メートルの距離と、少しの段差を乗り越えて廊下を右に曲がり歩き出す。

(さて今日から!)

と、もう一度高校生活が始まったことを実感した僕。あの時のあの子の事を頭の片隅に意地でも留めておいた状態のまま教室に入る。
0以下の確立を信じている頃の僕はとりあえずフラグを立てたらこうしていた。ラノベの鈍感主人公の用になるまいと記憶力を鍛えているのだ。

相変わらず高校というものは部活が盛んである。歩いている廊下の左側の壁には隙間を埋めていったかのように満遍(まんべん)なく部活の勧誘ポスターが貼られている。


生憎(あいにく)だがうちの高校は県有数の進学校だ。部活なんかをしている暇があるのなら勉学に(いそ)しめといいたいところだが、あいにく僕もそこまで勉強しかしていないような頭でっかちになる気はない。そんなことを無意識に思っていたのだろう僕は、そのポスターを歩くのと同時に流れ作業で見ていた。








バン


人とぶつかった。重たいとか硬いという感覚はなく感触からして女子だ。彼女と当たったと同時、彼女が持っていた紙の束が地面を四方八方に滑っていく。僕はぶつかったので重心を崩し後ろに少し下がってしまい、彼女も反動で尻餅をついていた。

「あぁっ!   すいません、大丈夫ですか?」
いつの間にか彼女の落とした紙をかき集めながらそんなことを言ってた。咄嗟だったんだろう。この頃の記憶はあまり覚えていない。

「いえ、大丈夫です。ありがとうございます。」
そう言いながら彼女も紙をかき集め始めていく。


周りの生徒も流されてなのか少し手伝ってくれている。

「はいこれ。」
床でトントンと向きを綺麗にそろえてから彼女に渡す。手伝ってくれたほかの生徒も同じようにして彼女に渡している。


「皆さんありがとうございます。」
そう言いお辞儀をする彼女の髪が肩から落ちているのを覚えている。深く長いお辞儀だった。

「そんな頭下げなくていいから、僕の方もよそ見していたし。」
と、若干引きつった顔の僕が言う。


「そう・・・・・ですか・・・・・・。ありがとうございます!」
そう言って彼女は僕の来ていた方向に歩いて行った。あちら側は確か1年生の学年職員室があったな。




僕も教室に向かうのを再開した。








進んですぐ、階段が見える。階段の隣に『新入生の教室はこの上です』というペンで書いた紙がテープで貼られてあった。


その階段を上っていく僕。後ろに何人も生徒がいるのだが、上っている生徒は僕だけだ。

階段を上り終え、右に曲がる。そして、扉の上に出っ張っている室名札を見ながら歩いていく。やはりここまで来
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