第1話
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ボーイミーツガール、そんなことが無くても学校である部活に打ち込むスポ根もの、はたまた極小どころか0以下の可能性で存在している学園ファンタジーを夢見ていたのだ。
いつもそんなことを夢見ていたアニメオタクだからこそ言える事がある。そんな事、現実では0よりももっと下の数字の確率でしか起こりえない。
昼休みに屋上でご飯を食べようと扉を開けると空から銀髪の女の子が降ってくるような現実は無いし、かといって部活動に入部して色々なハプニングを乗り越えながら全国を目指していくような熱血さも持ち合わせていない。
だが、そんな僕に1度だけ奇跡の神様が微笑んだ。目の前に見える光景である。
通学途中、道端で。電柱の陰で猫と戯れる女子高生。
まだ5メートルほど離れていたが、彼女の横顔がはっきりと見える。口元が動いており、何か言っている。
綺麗な黒髪のストレートに日本人な肌色、制服も僕の通う学校のものだ。
歩みを止めずに進む。距離2、3メートルのところ。
先程まで彼女の声がちょくちょく聞こえていたのだが、ここまで通行人が近づいたからか彼女は何も言っていない。ただ、猫とじゃれるのは止めていなかった。
丁度横を通り過ぎるときに彼女が何か言っていた気がしたが、特に何も気に留める要素がなかったために僕は学校に向かう足を止める事はなかった。
学校、玄関。
玄関には学年別に靴箱があり左から3年、2年、1年の順番だった。僕は自分の靴箱がある右の方に向かい一番右の真ん中辺り、五十音でも真ん中辺りだと思う『て』から始まっている名札の靴箱を探す。
あった、手野々。珍しいかもしれないが、これが僕の名字である。
あ、言い遅れていたね。僕の名前は『手野々 明青』。これだけでも不思議な名前だろうと思う。
実際に僕に名前を付けたのはおじいちゃんで、その時に空にちなんだ名前にしたいと言って、漢字は『明青』に決まったのだが、肝心の読みがこのままなのはさすがに可愛そうだという事で水色の空を意識したような名前から『あお』と付けられたのだ。
あるかどうかわからないが、子供に名前を付けるときはよく考えた方が良いという事だけは言わせてもらう。
話戻し、靴箱。
靴箱を開け、中から上靴を取り出す。取り出した後そのままそれを下に置くのではなく手を離すように落とす。この方法が楽でいい。
後は下靴を足をうまく使って脱がせ、両足のかかとが出たくらいで今度は片足ずつ上靴の方に足を移す。
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