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英雄伝説〜西風の絶剣〜
第18話 カルバートでの決戦
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「何!?」
「時間稼ぎはもう十分でしょう、一応私も幹部ですし仕事はこなさせてもらいました」
「!?ッしまった、パイツェンが……!?」


 僕たちはこいつに手間取りすぎてしまった。今から追いかけても追いつけるか分からない。


「次会う時までにはもっと強くなってて欲しいですね、それではご機嫌用」
「ま、待て!」


 シェーフンは窓ガラスを割って去って行ってしまった。


「くそ、私情にかられて依頼を忘れるなんて……僕もまだまだだ!」
「リィン、どうしよう……」
「とにかく今から追おう、カイトに頼まれたんだ。こんなところで諦める訳には行かない!」
「急ごう、リィン!」


 僕たちは軽い応急手当をしてパイツェンの後を追った。間に合ってくれ!



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side:??


「はあはあ……ここまで来ればもう安全だろう」


 旧市街の出口まで来ていたパイツェンは自身の勝利を確信していた。今回の取引が成功すれば自分には莫大な金が転がり込んでくる。そうなったらこの街に用はない、今度は帝国辺りにでも身を潜めるとしようか……そんなことを考えていた。


「ぐあっ!?」
「があっ!?」


 だが突然の悲鳴に彼の思考は現実に戻された。何事かと思い振り返ると護衛のテロリストの二人が倒れていた。よく見ると眉間に針のようなものが刺さっている。


「な、何事だ!?」
「敵襲か!」


 他のテロリスト達が警戒するその時だった、鎖のようなものが辺りを駆け巡りテロリスト集団の動きを封じた。


「我が舞は夢幻、去り行く者への手向け……眠れ、白銀の光に抱かれ…縛…!滅……!!」
「「「ぐあああああっ!?!」」」


 鎖で縛られたテロリスト集団の合間を何者かが縦横無断に飛び回り鎖ごとテロリスト集団を切り裂いた。


「な、何が起きたんだ……お、お前は!?」


 唯一無事だったパイツェンが目にしたのは黒い装束と仮面を付けた謎の人物だった。


「その恰好……まさか東方人街に伝説として伝わる暗殺者『銀』……!?」
「……その名は、まだ受け継いでいない。私がその名を受け継ぐ為にお前には死んでもらう」
「ま、待て!金なら払う!いくら欲しいんだ?金ならいくらでも……!!」


 パイツェンはそれ以上何も喋れなかった。台詞を言い終える前に仮面の人物に切られていたからだ。


「仲間を平気で裏切るような男の言葉など聞く耳持たぬ……」


 仮面の人物はそう呟くと影のように消えて行った。



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side:リィン


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