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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
裏切り
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元ベータテスターだけあって、コペルの戦闘勘はなかなかのものだった。

片手剣の間合いとモンスターの拳動、そしてソードスキルの使いどころをよく知ってる。俺の眼からはやや守護的すぎるように見えたが、状況を考えればそれも無理はない。自然、コペルが最初にタゲを取り、俺が弱点を突くという連携パターンが生まれ、2人で次から次へと獲物をポリゴン次片に変えていく。

狩りはスムーズに進んでる。だが、俺にとっては奇妙な状況だった。

俺とコペルはここまで、SAOの現状についても、自分達の事についても一切会話してない。茅場の宣告は真実なのか?この世界でHPが0になれば、本当に死ぬのか?今後この世界はどうなっていくのか?様々な疑問は当然コペルも感じてるはずだ。しかし、クエスト以外のことで特に話はほとんどしなかった。

俺はもう何匹ものリトルネペントの弱点に目掛けて剣を振り上げていた。ソードスキル《ホリゾンタル》が、植物の茎を断ち切り、破砕音が響き渡り、実体のない硝子片が2人を透過して飛び散る。

こちらに背を向けて、もう1匹のネペントの相手をしていたコぺルは、ふうっと息をつきながら振り向く。

「……出ないね」

声には疲労の色が滲む。俺とコぺルがコンビ狩りを始めてから、すでに1時間以上が経過している。2人合わせて150近い数のネペントを倒したはずだが、まだ《花つき》はPOPしていない。

「ベータテストの時と出現率が変わってるのかもしれない」

「あり得るね。……だとしたらどうする?レベルもずいぶん上がったし、武器もだいぶ消耗したし、一度村に戻ったほうが……」

コぺルがそこまで言いかけた時、2人からほんの10メートルほど離れた木の下に、仄かな赤い光が生まれた。

ゴツゴツと荒い形のポリゴンブロックが描画され、いくつも組み合わさって大まかな形を作っていく。見慣れた光景……モンスターのPOPだ。

先のコぺルの言葉通り、これまでの《乱獲》でかなりの経験値を稼ぎ、2人ともレベル5に達している。第1層の適正クリアレベルは、β当時の記憶では10程度だったので、まだまだ先に進むには速いが、もうリトルネペント1匹ならばさして慌てる必要はない。敵のカラー・カーソルの色もマゼンタからレッドに変わっている。

2人は草むらに立ち尽くしたまま、POPを眺めていた。ネペントは、数秒で精細な姿を得て、ツルをウネウネさせながら歩き始める。生物めいた光沢を待つ緑色の茎、個体差のあるマダラ模様に彩られた捕食器、そしてその上に、薄闇の底でも毒々しい赤に輝く、チューリップに似た巨大な花が。

「………」

2人は、なおも数秒ソイツをボォーッと眺めた後、無言で顔を見合わせた。

「……ーーーー!!」

声にならない雄叫びが響いた。それぞれの剣を振
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