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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
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めていた頃からわかり切っていたことだ。
クエストを受け、目的地に向かって走る俺の視界に、小さく赤いカラー・カーソルが表示された。《索敵スキル》によって反応距離が増加しているので、本体はまだ視認できない。カーソルの色はモンスターを示す赤だが、色合いはほんの少し濃く、レッドならぬマゼンダといった所だ。
今、俺の視界に出現してるカーソルは、赤よりもやや色が濃い。モンスター名は《リトルネペント》。リトルとつくが、身の丈1メートル半の自走補食植物である。レベルは3だが、レベル2の俺にはカーソルが紫がかって見えていた。
決して
侮
(
あなど
)
っていい相手ではないが、怖じ気づくことはない。
カーソルの周囲には他のMobがいないことを確認した俺は、リトルネペントに向かって真正面からダッシュした。眼を持たないこの手のモンスターには背後攻撃は成功しない。
道から逸れ、大きな木の回り込むと、そいつの姿が眼に入ったウツボカズラを思わせる胴体の下部で、移動用の眼が無数にうごめいている。左右には鋭い葉を備えたツルがうねり、頭にあたる部分では捕食用の《口》が粘液を垂らしながらパクパク開閉する。
まれに、あの口の上に大きな花を咲かせている奴が出現するのだ。《ホルンカの村》で受けたクエストのキーアイテム《リトルネペントの胚珠》は、花つきのネペントからしかドロップしない。そして花つきの出現率は恐らく1パーセント以下。
しかし、普通のネペントでも、倒し続ければ花つきの出現率が上がる。ゆえに戦闘は無駄ではないが、ここで1つ注意することがある。
花つきと同じくらいの確率で、丸い実をつけているネペントが出現するのだ。そいつは言わば《罠》で、戦闘中に実を攻撃してしまうと巨大な音と共に破裂し、嫌な臭いのする煙を撒き散らす。煙には毒性も腐食性もないが、広範囲から仲間のネペントを呼び寄せるという非常に厄介な特性がある。エリアのPOPが枯渇していれば大した数は寄ってこないが、現状ではとても倒しきれない数が集まってくるはず。
俺は眼を凝らし、敵が実を載せていないことを確認すると、改めて腰の剣を抜いた。同時にネペントが俺に気づき、2本のツルを威嚇するように高々と掲げた。
このモンスターの攻撃パターンは、先端が短剣状になったツタによる切り払いと突き、そして口からの腐蝕液噴射だ。闇雲に突進する青イノシシに比べれば遥かに多彩だが、ソードスキルを使わないだけ、ゴブリンやコボルドといったモンスターより楽と言える。
「シュウウウ!」
というような咆哮を捕食器の口から漏らし、ネペントが右のツルを突き込んできた。俺は瞬時に軌道を見切り、左に跳んで回避。そのまま奴の側面に回り込みつつ、剣をウツボ部分と太い茎の接合部(弱点)に叩き込んだ。
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