Side Story
少女怪盗と仮面の神父 30
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既に聞いた後かも知れないが、と言ってベルヘンス卿が指し示したのは、二人を囲む十人の、海賊を演じていた軍属騎士達。
「貴方が言ってた『アイツら』って、自警団のことじゃないんですか?」
「まさか。ネアウィック村の自警団とアイツらとでは格が違うよ。自警団が留守中の婦人宅に忍ぶなど、天地がひっくり返っても決してありえないね。万が一そんな団員が居ても、翌日以降、その人物は村に存在しない」
「ますます意味不明です。貴方のほうが格上に見えるのに、貴方は自警団を同等か、上に見てるの?」
他所の自警団がどうなのか、ミートリッテは知らないが。
少なくとも、ネアウィック村の自警団は有志で作った自衛組織。
基本となる詰所の維持費や装備費用や給料などは、最低限の防衛費として領主から支給されてるらしいが、団員はみんな一般民だ。
軍属騎士のハウィス達とそっくりな形の白っぽい騎士服(徽章は無い)を着用している青年が、同類の騎士達を格下扱いしたり、自警団を同等か上に見てるのは、序列的におかしい。
指先を辿って騎士達の様子を窺った後、再び青年の顔を見直すと。
彼は苦笑いで「守秘義務だから」と答えた。
(守秘義務。職務上知り得た秘密を、断乎隠し通さなくてはいけない義務。国軍に所属している騎士達が義務を負う程度には隠しておきたい何かが、『ネアウィック村の自警団』にもあるんだ)
ハウィスは、別の任務に就いていたというベルヘンス卿に無理を言って、ミートリッテの護衛を任せていた。
彼らは、ミートリッテを護る為に本来の仕事を休んでいるのか。
あるいは、ミートリッテの守護そのものが、本来の仕事に近いのか。
(彼女の願いであり俺達に与えられた『役目』の一つ。ハウィスの他にも、私を護れと『俺達』に指示を出した人がいる。『俺達』に含まれるこの人が敬称を使ったのは、『あの方』と『我が主サマ』で…………あれ?)
どこかで聴いた組み合わせに、ミートリッテが眉を寄せると。
いきなり、耳に覚えがある愉しげな笑い声が夜闇の中で響き渡った。
「あはっ! 『ブルーローズ』、みぃーつけた!」
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