暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
扇動始動 X 暴動胎動
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ン領から出稼ぎに来ている鍛冶屋レプラコーンなどが多い。彼らのアバターのどこかしらには闇夜にも鮮やかなダメージエフェクトがあり、痛々しげな顔ですれ違っていく。

また一人、シルフの少女とすれ違いながら、ヒスイは思わず呟く。

「なんで……」

会談を申し出たサラマンダーの小隊だったが、その後どうなったかはわからないが一般のケットシープレイヤー達と魔法飛び交う乱戦――――いやもう混戦としか言いようがない様相になったという。

当然、先述のダメージ無効化があるので、ケットシー側は領内にいる限りHPバーに変動はない。仮に大魔法を真正面から受け止めたとしてもノックバック程度で済むはずだ。

だが、圏内が保証するのはあくまでもプレイヤーのHPだけである。

平たく言えば、物についての保証はない。破壊不可能(イモータル)に設定されている、領内にもともと建っていた建築物以外の――――選挙前夜祭で多く立ち並ぶ屋台や露店類に対するダメージはそのまま透過し、耐久度がなくなれば倒壊、破壊されてしまうだろう。ただでさえ領の顔とも言え、賑わっている正門前で攻撃魔法が乱舞すれば大惨事は免れない。

そう、ネガティブな想像しか脳裏に浮かんでこないヒスイの目の前に、上空から飛来した流れ弾のような火炎弾が着弾した。

道路自体は地形属性のため、紫色のウインドウとともに破壊不能が表示されるだけだ。だが、爆ぜ散る火炎の揺らぎがプレイヤー死亡時に現れる命の残り火(リメインライト)を想起させ、ヒスイは思わず唇を噛む。

その顔をチラリと見、アリシャも滅多に見ない険しい顔で隘路の角を曲がった。

するとそこはもう、正門前から伸びるメインストリートに繋がっていた。高い建物が多いため、自然、狭窄していた視界が一気に広がる。

隊長室の窓から見えたそのままの光景が、そこには広がっていた。

領内に入ることが不可能なサラマンダー一個小隊は、領土を示す外壁を盾として、その外側を無尽に飛び交いながら強力な火炎魔法をブッ放している。それに応戦するのは、恐らく戦端が開かれた際、メインストリートを歩いていた一般プレイヤーの中でも好戦的な者達なのか、ケットシープレイヤー――――その中でも後衛攻撃職(メイジ)と思われる数人が安全な圏内から魔法を放ち、前衛(アタッカー)の数人が圏内から出て空中戦闘(エアレイド)をしていた。

だが、その辺を歩いていたプレイヤー達だけで即席で組まれた応戦チームに対し、サラマンダー勢の小隊は動きに無駄がない。明らかに普段からギリギリの環境下でスキルを磨いている精鋭だ。圏内から放たれる様々な種類の魔法を片っ端から回避、あるいは撃墜させている。

全体の勢いは互角。だがそもそも数で圧倒的に有利に立ち、かつ絶対的安全圏を確保しているケットシー側が
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