第二部 WONDERING DESTINY
エピローグ 〜Stairway to Eternal〜
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レザーの帽子で顔半分が覆われている。
纏った衣服は黒い、荘重な色彩の司祭平服、
それに掛かる薄地の外套。
胸元は勿論、その装飾に至るまで神の象徴で在る
ロザリオが威光を放っている。
「誰? この人?」
あどけない表情でソラトが、
「エンヤ姉サマ……」
脇のティリエルも、ヴァニラ・アイスとはまた異質の只ならぬ気配を覚り、
双眸を張りめかせる。
荘厳且つ清浄ではあるが、触れただけで己の存在を根底から
『抜き出される』 ような昏い霊気を男は称えていた。
「DIO様の客人じゃ。詳しいコトはこのワシも知らぬ」
そう言ってエンヤはその若い男を一瞥する。
「……」
男は微笑んだのか口唇を少し曲げ、おもむろに立ち上がった。
「フッ “紅世の徒” という存在。
最初に聞かされた時は少々面喰らったが、
なかなか興味深い者達じゃないか? “DIO” 」
そう言って男は胸元のロザリオを揺らしながら、親しげな口調で絶対者に問いかける。
「貴様……! DIO様に対しッ!」
「無礼な……!」
瞬時に激昂したヴァニラとヘカテーが男の前に立ちはだかる。
「……」
男は最強のスタンド使いと紅世の王の脅威に同時に晒されながらも、
全てを慈しむような微笑を違えずただその場に佇んだ。
そこに響く、天啓のような声。
「いい。彼は私の “友人” だ」
それまで黙っていたDIOが、厳かに口を開いた。
「詳しく説明しておかなくて悪かった。何せ急な来訪だったものでな」
そう言うとDIOは、その知友に艶めかしく微笑む。
男も同じように、己の友へと微笑を返す。
間に残されたヴァニラとヘカテーは、呆気に取られたように両者を見つめるのみ。
「まぁ、そういう事だ。二人とも矛を収めてもらえるか?
まだ若い、至らぬ点は私が侘びよう」
「い、いえッ!」
「そのような事は……決して……」
DIOの想わぬ返答に、両者は戸惑いながらも即座に戦闘状態を解除する。
「失礼」
司祭平服の長い裾を揺らしながら、
その男は悠々と二人の間を通り抜けDIOの前に立った。
「何か飲むか? “プッチ” 」
DIOはそう言って精巧なヴェネチアン・グラスを傾ける。
「戴こう」
プッチと呼ばれたその若い男は、緩やかな仕草でDIOの手からグラスを取り
ソレを口元に運んだ。
その部屋にいる全員の視線が、正と負あらゆる感情を織り交ぜて男の背に突き刺さる。
プッチはそのコトを意に介さず飲み干したグラスをチェストに置き、口を開いた。
「それにしても、人が悪いな? DIO。
このような楽しいコトを行っているのなら、
どうしてこの私を呼んでくれない?」
そう
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