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世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
22話 一夏VS鈴 その2 & 無人機戦
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て、何が変わるのよ?」

「大きく変わるさ。……零落白夜を迷いなく使うことが出来る」

 俺のその言葉に鈴は視線を正体不明のISから俺に向けられた。その視線は俺を責めているようにも、諌めるようにも、咎めるようにも感じる。こんな鈴の視線は初めて見た。

「……一夏、別にアレが有人だろうが無人だろうが私が反対する理由はないわ。だけどあくまでも現段階では無人である『可能性』でしかない」

 じゃあ何で鈴は俺に零落白夜の使用を―――……可能性?

「あんた、もしあれが無人じゃなかった時、どうするつもりなの?」

 ―――犠牲を作るのは自分……それを忘れないで。

 脳裏に蘇る鈴の言葉。その言葉は、一瞬呼吸を忘れさせるほどのもの。

「……っ」

「有人であろうが無人だろうが私は零落白夜を使うことを反対しないわ。でもね一夏? アレが有人で零落白夜を使って落とした場合、いえ、『人間を殺した時』、一夏はその苦しさを背負える?」

 犠牲は出したくない。千冬姉もそうだし、この場のいる人たちを誰も傷つけたくない。

 そして、あの正体不明のISが無人じゃなくて有人だった場合、零落白夜を使えば殺す可能性が必ず付き纏う。―――犠牲を生み出すことになってしまう。例え敵であってもだ。

「……それは」

「私だって人を殺したことはないから分からない。でも、こんな状況になったら私は躊躇わない。ううん、専用機持ちになった瞬間からそれくらいの覚悟はしてる」

 いつか鬼一が言っていた。

 専用気持ちが戦場に出るということは自分だけの問題ではなく、絶対に敗北が許される状況じゃない。鈴もそれを理解しているからこそ、いつかは人を殺すかもしれないというのを受け入れている。

 でも俺はまだ、そんな覚悟は出来ていない。いや、したくない。犠牲が出る前提なんて間違っている。

「でも一夏、あんたは皆を守るために、誰も犠牲を出したくない、という考えからあれを無人機だと考えたいだけよ」

 その言葉に視界が赤くなった。

「……違う! 俺は―――!」

 鈴は悪くないのに、鈴に激情をぶつけようとした瞬間、冷水を彷彿させる声が俺と鈴にかけられた。

 それは予想もしていない人間の声だった。

『……一夏さん、鈴さん、聞こえますか?』

「鬼一!?」

「なによ!?」

 鬼一の声は冷たく、ひどく乾いた声。普段の鬼一とは掛け離れたその声に背筋が震えた。普段の鬼一は淡々としている所があっても、人のことを考えているから温かみがある。でも、今の声にそんな温かみは一切ない。

 鬼一のこんな声を聞いたのは初めてだけど、俺はこの鬼一知っているような気がする。鬼一との付き合いは決して長くないのにだ。

 俺はどこで
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