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世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
22話 一夏VS鈴 その2 & 無人機戦
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零落白夜を1回当てるだけで全て終わる。一夏さん、守ることが出来ますよ」

『……鬼一っ!』

 鬼一のその言葉に対して鈴は激昴の声を上げた。その視線は正体不明のISから鬼一に向けられる。鈴の怒りに染まった瞳を向けられても鬼一は一瞥もしない。心が決まっている以上、鬼一を止めるなら実力行使しか方法はない。

 ―――そう、鳳 鈴音がこんな言い回しを認めるわけがない。なんせまだ人が乗っている可能性が残っているのだからな。だけど、それはどうでもいいこと。重要なのは織斑 一夏が俺と同じような疑念があってそれを肯定されたこと、そして守ることが出来るかもしれないという欲が満たされるかもしれないこと。

 結局の所、鬼一は一夏の『守りたい・犠牲を出したくない』という気持ちを利用している。利用することでこの戦闘に伴う最小限の犠牲で終わらせようとしているのだ。

 鈴は一夏の気持ちを知っているからこそ、甘いということも重々承知した上で一夏の気持ちを叶える為に四苦八苦しながら戦っていた。鈴の奮闘があったからこそここまでまだ犠牲を出さずに押さえているというのは事実。

 そして鈴は鬼一の意図も理解している。鬼一が一夏の気持ちを利用としていることも。

 だからこそ鈴は鬼一を許すことは出来なかった。

 だが鬼一は鈴の気持ちなど知ったことではない。鈴が消耗した状態でここまで戦っていたのは尊敬している。よくぞ一夏のフォローをしながらここまで耐えた。が、それだけだ。鈴の限界だって決して遠くない。そうなればリスクがどのように変化するか、予想出来なくなる。

 ―――長引けば長引くほどリスクが上がっていく以上はこれが最善だ。少なくとも観客席にいる生徒たちは助かるのは間違いない。本来、どこにも躊躇う必要はない。

「人が乗っていないなら容赦なく全力で攻撃しても誰も犠牲になりません」

『……あぁ、分かっているよ鬼一』

『一夏っ!?』

 一夏の肯定と鈴の戸惑いの声。一夏の声を聞いた瞬間、鬼一は自分の頬が釣り上がるのを自覚した。鈴が鬼一から視線を切って一夏を見たおかげでその表情を見られなかったのは幸い。見られていたら鈴は鬼一を殺そうとしたかもしれない。

 人は誰だって肯定されたい。自分の考えや自分の感じたものを肯定され、共感して欲しいと感じるのは至極当然のことだ。このように切羽詰まった状況でなら尚更だ。1度受け入れてもらえば、もう疑問を抱くことは出来ないだろう。

『鈴、零落白夜は確かに誰かを殺すかもしれないほどの力があるかもしれない。だけど相手は無人機なんだ。鬼一の言う通り零落白夜で一気に決着をつける方が正着じゃないか』

『……っ』

『鈴、俺に考えがある』

 一夏は鈴を見ようとしないで自分が考えた策を話し始める。
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