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世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
22話 一夏VS鈴 その2 & 無人機戦
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「……この試合、なに?」

「2人とも……なんか、怖い……」

 清香と静寐は一夏と鈴の試合を見て、そう感想を漏らした。傍から見ていても鈴の苛立ちや怒りに似た感情は伝わってくる。周りの生徒たちも似たような感想を持つ。

「出だしも酷かったですけど、これはまた一段と酷いですね」

「……織斑さんは論外ですけど、鈴さんも大概ひどいですわ」

 鬼一とセシリアはそれに気にした風もなくそれぞれの感想を零す。

 鬼一は一夏の行動に対して、セシリアは両者の行動とその後の展開について。

 一夏は追い詰められる前に離脱を選択したがそれを失敗だと鬼一は考える。基本的な考え方は間違ってはいない。鈴に追い詰められる前に離脱するのは正しい。

 だが、1合も打ち合わずに離脱するのは正しいとは思えない。

 鈴は明らかに感情に身を任せるタイプであり良い意味でプレイに反映させれる。相手が一夏ならその傾向はより強くなるのは明白。その感情を煽るような行為は決して褒められたものではない。更に言えば、鈴は感情で動いているが感情に飲まれていない。感情からミスが生まれるのは考えにくい。鬼一はそう考える。

 セシリアは一夏のことを論外と評したが、それは一夏の基本方針を理解した上での発言。主体性うんぬんではなく、序盤とはいえ消極的過ぎる、安全策というよりも逃げ腰に見えたからだ。そして、その弱腰を咎められなかった鈴を責めていた。

「ちょっと心配……」

 本音が小さく両者を案じるように言葉を呟く。

「心配って何がですか? あの一夏さんが失敗も試行錯誤をしているんですから心配なんてする必要はどこにもないですよ。いっそのこともっとやったほうが面白いんじゃないですか?」

「……面白いって」

 しかし、鬼一は本音の心配は無意味だと断じる。そもそも勝負の場での外野の心配などなんの意味もない。そう言う鬼一を本音はジト目の視線を向ける。非難しているようにも見えた。

「いや、ホントにもっとやったほうがいいと思います」

「えー……」

 そんな本音の視線など気にした風もなく鬼一は自分の意見を述べた。

「まだ甘いですけど一夏さんが自分で考えて、自分の意志で決断をして自分の責任で失敗しているんですよ。これって発展性のあることです」

 セシリアが感じる弱腰さは鬼一も感じているが、今はそこまで問題ではない。まだ流されている部分もあるが以前と違って考えなしに、感情に振り回されたまま試合を進めていないだけでも成長したと言える。

「それに……凄くないですか? 一夏さんここまで悪手、下手すれば試合が終わりかねないプレイをしているのに、試合が終わるどころか絶対防御も発動していないんですよ? 鈴さんがそれを咎めれていないからより酷
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