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第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#END
DARK BLUE MOON FINAL〜Ring Of Vestage〜
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本来 『こうするべきだった』 のかもしれぬ。
その身は消えようとも、想いはこの地に充ち渡り、
そこに生きる者を見護っていく」
 己の気持ちと同調するように、ラミーは修復の終わった香港の街を一眸した。
「何の為に力が必要なのかは解らねーが、
いつかアンタの願いが叶うといいな」
「あぁ、その時にはソレを、君にも視てもらいたい」
 そう言ってラミーは名残惜しそうに瞳を細めた。
「では、さらばだ。 “天壌の劫火” 我が古き友よ。因果の交叉路でまた逢おう」
「いつか望みの花咲く日があるように “螺旋の風琴” 」
 異なる真名で呼ばれたラミーにシャナが瞠目すると同時に、
老紳士は無頼の貴公子の瞳を真っ直ぐみつめる。
 そし、て。
「最後、だから、ね」 
 不意に言葉を発した。
 しかしそれは、ラミーの口からではなくその背後、否、躰の裡側から聞こえた。
 件の枯れた声ではなく、純潔な少女の声。
「ッッ!!」
 同時に、老紳士の姿が陽炎のように薄れて霧散し、
その中から緑色の火の粉に包まれた幻想的な美少女が姿を現した。
 淡い紫色の髪と瞳、清楚な洋装、胸下に届く細いリボンが気流に揺らめく。
 トーチにその身を宿すラミーの「正体」については
アラストールから説明を受けていたが、
実際に目の前で宙に浮くその懸隔に、さしも承太郎も言葉を失った。
 その彼を慈しむように見つめながら、幻想の美少女は静かに口を開く。
「ありがとう。空条 承太郎。私を、護ってくれて」
 星形の痣が刻まれた首筋に、白い手がそっと絡まる。
「私、貴方に逢えて、本当に良かった」
 そう言ってその感謝の印が、承太郎の頬に優しく口づけられる。
「――――ッッッッ!!??」
 正体を現したラミーの姿にではなくその行為に、
シャナは怒髪衝天の如く双眸を見開いた。
「私の真実(ほんとう)の名前は、
紅世の王 “螺旋の風琴” リャナンシー。
またきっと、何処か、でね……」 
 微かに潤んだ瞳で小さく手を振りながら、
全身から湧き熾った緑色の火の粉と共に彼女の姿は蜃気楼のように消え去った。
 後に残った静寂と脇を抜ける風。
「フッ、結局最後の最後まで、してやられたというワケか」
 穏やかな微笑と共に、無頼の貴公子が柔らかな感触の残る頬に手を当てた刹那。
 ドグオォォォォッッッッ!!!!
 予期せぬ痛烈な打撃音が彼の背後で鳴った。
 軸足の廻転でコンクリートが焦げる程の勢いで放たれた
シャナのハイキックが承太郎の腰上に直撃していた。
「……ぐ……おぉ……テメー、いきなりなにしやが」
 脊髄を電流のように駆け抜ける激痛で片膝が抜ける承太郎に対し、
「うるさいうるさいうるさい!! ヘラヘラしてるんじゃないッッ!!」
真っ赤になっ
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