第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#END
DARK BLUE MOON FINAL〜Ring Of Vestage〜
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に引く。
気休めにもならないと想うが、掛けられた学生服を煙幕にするため襟元をはだけた瞬間。
「でも、眼につく “紅世の徒” 全てを討滅するっていうのじゃなく」
「その “銀” とかいうクソヤローをブッ潰すっつーんなら」
青年と少女の声が重なる。
「手伝ってもいいぜ」
「手伝ってもいいわよ」
(――ッッ!!)
想定外の言葉に、声が出ない。
今の今まで、戦っていた、殺し合いをしていた者達が、どうして?
何度も何度も、本気で殺そうとした。
だから自分だって、殺されても仕方がないと想った。
なのになんで、こんな言葉を自分にくれるのだ?
辛くて、苦しくて、哀しくてどうしようもなかった時、
一番欲しかった言葉なのに。
「……ッ!」
涙に滲む双眸と胸を締め付ける心中を覚られまいと、
美女は長い栗色の髪に顔を伏せる。
正直なんて応えればいいのか解らないし、頭の中が滅茶苦茶で何も考えられない。
だから、二人から顔を背けて取り合わない事に決めた。
否定するにしろ肯定するにしろ、どちらも嘘になってしまいそうだったし、
自分の中の大事なモノが壊れてしまいそうで怖かった。
(もういい……一人に……して……ほっといてよ……)
アノ娘と同じ存在が、他にも自分に出来るなんて信じられない。
でも目を閉じると、中性的な風貌の少年が優しく微笑みかけてくれていた。
「まぁ、すぐに解答を出せとは言わないわ。
こっちもあと最低三ヶ月は要請されても協力出来ないし。
だからその間に考えておいて。
同じフレイムヘイズで在る以上、またどこかの封絶で遭うコトになると想うから」
「ヤローの面ァ覚えた。もしかしたら先にこっちがヤっちまうかもしれねーが、
そんときゃあ恨みっこなしだぜ」
こっちの心中など意に介さず、言うだけ言うと二人の気配が遠ざかった。
瞳から温かな雫が頬を伝い、胸元に落ちるのが解った。
「さて、本当に世話になった。 “炎髪灼眼” ……イヤ、空条 シャナ」
修復されたビルの屋上中央でラミーが深謝を込めてそう言った。
「自分が、やるべきコトをやっただけよ。別に気にしなくていい」
澄んだ瞳で告げるシャナの返答は非常に坦懐としたモノ。
「フッ、本当に、良いフレイムヘイズを育てたな。アラストール」
「我だけの殊功ではあるまい。それは貴様も解っていよう」
少女の胸元で、本意と不本意が入り交じったような口調で炎の魔神がそう告げた。
ラミーは笑みを深くし、最後に承太郎へと向き直る。
「……」
しかし何かを逡巡しているのか無言のままなので、先に承太郎の方が口を開く。
「悪かったな。せっかく集めた “力” を遣わせちまってよ」
「イヤ、ここで集めたトーチは
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