第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#END
DARK BLUE MOON FINAL〜Ring Of Vestage〜
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“彼女” もソレを、誰よりも願っているのではないか?」
「……ッ!」
軋む口中と、歪む風貌。
何度も何度も自答して、結局答えなんか出なかった問い。
自分が今までヤってきたコトは、これからしようとしていたコトは、
どう考えても “ルルゥの為” ではない。
100%、自分自身の為だけのモノ。
だから彼女を想うコトを止め、一人憎しみに焼かれるコトを選んだ。
そうでないと、辛過ぎた。
温かな光で充たされた平穏な世界でアノ娘を忘れるよりも、
凄惨な修羅の岐で血に塗れながらも、ずっと覚えていたかった。
「……だったら、何だって、いうのよ」
誰に言うでもなく、自分自身に言い聞かせるようにマージョリーは言葉を紡いだ。
「そんな言葉は、もう、聞き飽きた」
ザワめく大気の中、そこにいる全ての者に告げられる、冥府から響くような声。
「復讐なんかをして、死んだ者が生き返るわけではないと知った風な口をきくヤツもいる。
赦す事が大事なんだと、クソくだらないコトを平気でほざくヤツもいるわ」
肩を震わせながら俯いていた美女は、そこで決然と顔を上げる。
その深い菫色の瞳に宿る、昏きながらも気高き光。
「でも私は! アノ娘を目の前で殺されてッ!
その事に眼を背けて生きるなんてまっぴらごめんだったし!
スベテを失っても構わないという覚悟を決めて今日まで闘ってきたッ!」
ビリビリと空間を劈くその言葉に、周囲の者はただ黙する以外術をなくす。
創痍の躰で血を吐くように吼えるマージョリーの様相は、
酷烈な復讐者のソレではなく、ただ一人の哀しい女の姿だった。
「アイツを殺さない限り! 私はもうどこへも行けない!
そうしない限り! 未来なんてないし幸福なんてモノも存在しない!
喩えどんな結果になろうと!
私は私自身の 『運命』 に “決着” をつけなきゃいけないのよッ!」
そう、できるわけがない。
できるわけがない。できるわけがない。できるわけがない。
アノ娘の事を忘れて、全てを「過去」にして、自分だけが安息に生きる事など。
この残酷な世界の中でただ一つ、アノ娘だけが、ルルゥだけが、
自分の真実の “幸せ” だったのだから。
「そういうコトなら、仕方ないわね」
それまで押し黙っていた少女が一転、
その凛々しき気配を全身に纏わせて自分の傍へと歩み寄った。
その髪も瞳も元の黒い色彩へと戻っていたが、今の己を縊り殺すのは容易だろう。
未だ去っていない窮地を、何故か他人事のように茫然と見つめていた
マージョリーの前に長身の男も立つ。
「今回みてーに、我を忘れて暴れ回るっつーんなら、また沈めるコトになるが」
威圧するわけではないが、全身から発せられる強い気配に躰が無意識
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