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魔王に直々に滅ぼされた彼女はゾンビ化して世界を救うそうです
第15話『黄金の魔法使いの憂い』
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の大陸を中心に十字を切るように広がった四つの大陸――中央大陸を含めれば計五つの大陸が描かれたこの地図は、言うまでも無くこの世界の果てまでを表した世界地図だ。
中央の大陸から見て下側、南大陸の南端より少し上辺りに存在している国。つまりは、大国ヴァリアを指しつつ、ジークが「ここが現在地だ」と補足する。
そこから一気に指先を動かして、中央大陸を超え、北大陸の最北端。いくら先端とはいえ、北大陸を横断する程巨大な山を指して、再度ジークが口を開いた。
「この山の麓が、俺達対魔傭兵の拠点だ。更に言えば、《神殺し》が対魔傭兵の新規兵を訓練する場所――『果ての平原』が、この山を越えたここだ。辿り着こうと思ったら、大型船を貸し切ってノーストップでも、7年は船旅をする事になるだろうな」
「補給を含めると……8年から10年は掛かる、という訳か。患者達がそんな旅に耐えられるか……いや、そもそも、それまで魔蝕病が待ってくれるかどうか……」
「更に言えば、『唯神教徒』の妨害もあると思った方が良いだろ」
魔蝕病はその最終段階、人体を魔物に作り変えるという症状が完全に発症するまで、個人差はあるが9年ほどと言われている。
彼らの言では、この村が魔物に襲われたのが一年弱ほど前。魔蝕病が発症したのが数ヶ月前だそうだ。となれば少なく見積もって、彼らの余命はあと8年。無理な旅を続ければ、更に悪化する可能性もあるだろう。
助かる確率は、2割程か。
と、これまで沈黙を保っていたベガが、思い付いたように声を上げた。
「……そういや、ジーク。アンタも、この『果ての平原』とやらから来たのかい?」
「ああ、つっても、俺の故郷はヴァリアの更に南だがな。《神殺し》と会って、色々あって向こうで5年ほど訓練してから、対魔傭兵としてこっちに派遣された」
「だが、アンタどう見ても20そこらの齢にしか見えないよ?一歳の時にはもう出てたとでも?」
「いや、専用のアーティファクトで転移していた……ああ、残念ながら、対魔傭兵専用のアーティファクトだぞ。組織を抜けた俺にはもう使えないし、一般人なんて以ての外だ」
ベガの言いたい事を察した様で、ジークが否定する様に手を振って見せる。そうして落胆する大人達を見ていたメイリアが、唐突に難しい表情をした。
ジークがふとそちらに気付き、「どうした?」と問い掛ける。
「ねぇジーク、確かヴァリアゾードの街に居た時使ってた、遠信機……だっけ?あれで本人に連絡出来ないの?」
メイリアの問いにジークが「あぁ」と思い出したようにポーチに手を入れ、中から遠信機を取り出す。そして自身の魔力をその内に込めたようだが、彼は一つ舌打ちすると、そのまま遠信機を机の上に放り捨てた。
「駄目だ、こりゃもう使えない。
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