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魔王に直々に滅ぼされた彼女はゾンビ化して世界を救うそうです
第15話『黄金の魔法使いの憂い』
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病の一般的な治療方法は確立されていないのは知ってだろうけど」

「あくまでも『一般的な』治療方法だろう?元対魔傭兵(リ・メイカー)のアンタならよく知ってる筈だ」

「……成る程な」

 村に置かれた少し大きめの小屋に村の主だった大人達が集まり、備えられた多くの椅子に腰を下ろしている。その中にはジークにメイリア、スィーラも混じっており、後者の二人は状況の詳細を把握する為、直接会話には参加せずに傍に寄って会合に耳を傾けていた。

 が、フィンの言い分にジークが納得したように答えた所で、メイリアが口を開く。

「どういうこと?魔蝕病の治療方法が、対魔傭兵(リ・メイカー)に関係してるの?」

「正確には違うな。関係してるのは対魔傭兵(おれら)じゃなく、《神殺し》――現対魔傭兵当主、今代ノット・ルーラーだ」

 ノット・ルーラー。
 その名は、かつての共栄主世界戦争『ワールド・エゴ』に於いて、人々の王……霊王として人間達を率い、世界を混沌に貶めた神を殺した伝説の偉人。富豪の子が通うような学校と呼ばれる施設の教科書でもその名が載っている、人類史上至高にして最強の存在。
 その性別は判明していないが、彼、または彼女が創設したとされる精鋭部隊、『リ・メイカー』は、今も『対魔傭兵(リ・メイカー)』として残っている。そしてその当主は代々《神殺し(ノット・ルーラー)》の名を継ぎ、霊長の王として世界の均衡を護る守護者となるのだ。
 その名を継ぐに相応しい力と智慧を身に付けた者にのみ、初代から伝わるその秘伝を継ぎ、霊王として名を連ねる権利を得る。

 そうして継がれた秘伝の術の中には、『魔蝕病』を治癒する秘伝も存在する――噂となって大陸中に広まったそれは、ジークも訓練時代に、《神殺し》本人から聞いた事だ。

 つまりは、れっきとした事実。《神殺し》には、魔蝕病を治癒する術があるというフィンの言い分には、何一つ誤りは存在しない。だが――

「反対だな」

 ジークは、彼の考えを否定した。

「何故」

 フィンが少しだけ声を荒げて、ジークに問い掛ける。
 横からベガがフィンを諌めて落ち着かせ、冷静さを取り戻したフィンが「すまない」と一言言ってから、改めてジークに視線を向けた。

「訳を聞いてもいいか?」

「確かに師匠は……《神殺し》は魔蝕病を治す方法を知っている。というか、持っている、の方が近いな。あの人以外には出来ない事だし……ただ、肝心の《神殺し》が何処に居るか、分かってるのか?」

「対魔傭兵のアンタなら知ってると踏んだ」

「だろうな。だが、俺が話してるのは距離の問題だ」

 ジークはポーチの中から、細く巻いて布で縛った大きな地図を取り出し、皆に見えるよう真ん中の大机に広げて見せる。円状
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