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約1つのラベルと心臓
第n+11話 可愛い子には世に憚らない
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透明だった。
「そうそう、夏雄君、これあげるわ」
 美都子が物を投げてよこした。
「何だこれ?」
「マーキングした世界に戻る装置よ。ちょっと古いバージョンだけど性能は十分だわ」
「ありがとう。けど、いいのか?」
「私は496個持ってるからいらないわよ」
「そんなにいらねぇだろ」
「いやいや。備えあれば角を矯めるって言うでしょ?」
「言わねぇよ」
「ともかく、見所無さそうね。次行きましょ。赤いボタンを押して」
「へぇ」
「さて、次は世界に何を入れましょう?じゃがいも?」
「もう好きにしろ」


第n+14話

 世界が破滅した。
「次!」


第n+15話

 目を覚ますとそこは、
「そこは神を崇めよ!そこは神を讃えよ!」
「凄ぇ勢いだな」
「いわしの頭がとんびにかえるってやつね」
「聞いたことねぇな」
「貴様らそこは神を侮辱しているな」
 突然、槍を持った男数人に囲まれた。
「裸の王様。何も持たずとも気品さえあれば物の真偽が分かるという意味だ。貴様らにはそこは神の本質を見抜く超感覚的嗅覚が足りない!」
「んな意味かぁ?」
「貴様!そこは神を愚弄するか!」
 武器が近づく。
「うわ」
 夏雄は思わず両手を上げた。
「そこは神を理解せぬとは信じられんな。この俺でさえ生まれる前から理解していたというのに。33550336歩譲っても、6歳までにはそこは神に自らの血肉を捧げると心の奥の奥に刻んでいるものなのに。貴様らは劣等生より遥かに劣る」
「あーめんどくせぇ!帰るぞ!」
「帰ると子も帰るー」


第n+16話

 目を覚ますとそこは、と想起している間にバナナを顔面にぶつけられた。
「ぶぎゅおっ!」
「バナナ祭りの真っ最中よ」
 美都子はバナナを避けながら解説した。
「お前……」
「ここにいる人は森羅万象老若男女十把一絡げ仁義無き参加者よ」
 そう言いながら美都子が弾いたバナナが夏雄の腹に直撃した。
「、ごっ」
「成る程。熟しきっていないバナナを投げて火力を上げるって寸法ね」
「んなこと言ってる場合かよ」
「夏雄君は初心者だから、いいこと教えてあげる」
「はぁ、なんだ?」
「バナナなる!」
「何言ってんだお前。こんなとこさっさと出るぞ」


第n+17話

 目を覚ますとそこは、わっしょいわっしょいわっしょっしょーい
「わっしょいやっほいてんらいほー」
「くらくららうらうぱーてーさいな、ぱーてーさいなが」


第n+18話

「危ねぇ」
 夏雄は大きく息をついた。
「ここは麻薬じゃない自然がいっぱいね」
 美都子は大きく伸びをして深呼吸をした。
「……」
「……」
「ホントに自然しか無いな」
「そうね」
「次行くか」
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