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STARDUST唐eLAMEHAZE
第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#23
DARK BLUE MOONXX〜Endless Expiration〜
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 上空で承太郎の手を掴んだシャナは、そのままスタンドごと彼を引き連れ
紅い光跡を描きながら災殃の中心部へと向かった。
「全力で飛ばせッ! 真っ向から勝負を賭ける!!」
「了解ッ!」
 紅蓮の双翼から炎が噴き出し、空を翔るスピードは更に加速されていく。
 ズームアップするように魔狼の貌が視界に迫り、
改めて認識したそのあまりの巨大さに唖然となった。
 近づく程に凄まじい熱気が肌を灼き、狂獰な存在感に全身が粟立つ。
(本当に……こんなの……に……?)
 これから自分が 『するべきコト』 は言われなくても解っている、
というより一つしかない。
 でも自分が挑むならまだしも、それと同じコトを承太郎にはさせたくない。
 すぐにでも転進し策を違えたいという欲求が堪えがたく湧き上がってくる。
「まだなの!? 承太郎ッ!」
 神経を焼く、文字通りの焦燥と共に少女は青年を急かした。
 距離的にはもう充分、このまま 「投擲」 すれば
魔狼の動作よりも速く承太郎をその鼻先に辿り着かせる事が出来る。
 だが。 
「まだだ! まだ機がきてねぇ! 「合図」 を待てッ!」
 窒息寸前で更に水底へと潜るように、承太郎は逼迫した声を荒げる。
 その言葉の間にも狭まる、死の射程距離。 
 高速で己に近づいてくる、取るに足らない矮小な虫螻を
周囲の残骸諸共粉微塵にする為、
魔狼の前脚が天空を抉るように迫り上がった。
 その大気を鳴轟する爪牙が揮り堕とされ、空間を断裂する刹那。
「今だ!! ヤれッッ!!」
 有り得ない状況の在り得ないタイミングで、承太郎の声が響き渡った。
 本来なら絶対出来ない、出来るわけがない行動。
 しかしその声に自らが彼のスタンドとなったかのように、
意識が空白となり躰の方が勝手に動いた。
 最愛の者を自ら火口の淵に投げ込むような暴挙の認識はなく、
ただ “やってしまった” という虚無にも似た気持ちに喪心となる。
 しかし乾坤一擲の想いで射出された承太郎の躯は、
双翼の加速も相俟って星光の如きスピードを宿し、
魔狼の爪を紙一重で掻い潜る。
 そし、て。

 


“TANDEM……!”




 一瞬を遙かに凝縮した時の狭間の中で、
無頼の貴公子の裡から集束された白金のスタンドパワーが流出し、
ソレが高密度の鋼鉄を弾き合わせるような感覚と共に
スタープラチナ内部へと刻まれていく。
 その特殊機動プログラムの終着点、今ある流法の中で
最大の威力を誇るモノがダメ押しのように叩き込まれ、
煌々とした光を右手に宿したスタンドの拳が
すかさず眼前を覆い尽くす魔狼の横っ面に放たれた。
『……ッッ!?』
 突如の目の前に、まるで平行世界から抜け出してきたかのような
残像を伴って
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