第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#23
DARK BLUE MOONXX〜Endless Expiration〜
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大破壊の余韻に浸っているのか、魔狼も今は小康状態。
『絶望の先、絶体絶命の窮地の後にこそ』 勝機は到来する。
ソレが、アイツが自分に教えてくれた、何よりも大切な事。
湧き上がる万感の想いを噛み締めながら、
溢れる切なさに必死で堪えながら、
少女は罅割れたアスファルトの上を駆け続けた。
先刻彼と交わした 「約束」 を、ただひたむきに信じて。
大丈夫、だよね?
いるよね?
来てくれるよね?
待ってるから!
何があっても絶対待ってるからッ!
その少女の切望に応えるように、摩り切れたスカートの中から無機質な電子音が鳴る。
意識よりも速く、ポケットの中から取り出した
携 帯 電 話の液晶画面に記載された文字。
他の誰よりも待ち望んだ、その者の名前。
同時に待ち侘びた期待の喚声が、封絶全域に轟いた。
『オッッッッッッッッッッラアアアアアアアアアアアアア
アアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァ
―――――――――――――――!!!!!!!!!!!!』
予想していたよりも遙か近距離で、
倒壊した瓦礫の墓標から白金の光に包まれた二つの影が、
強烈な破壊音と同時に飛び上がった。
自分と同じ、否、それ以上にズタボロの学生服姿で。
それでもその勇壮な風貌は、いつもと何も変わっていない。
散開するコンクリートの飛沫の中で舞い踊る、黄金の鎖。
自分と同じように、建物の中へ身を隠していたのだろうか?
否、おそらく 『迎え撃ったのだ』
降り注ぐ蹂躙の弾幕を、自らの放つ流星の弾幕で。
そして白金と群青の凄まじい軋轢に周囲のビルが耐えきれず、
その倒壊に巻き込まれた。
「――――ッッ!!」
声にならない歓喜でそれを見上げる自分の先で、
神虐の魔狼すらも驚愕したようにその存在を凝視した。
即座に背で烈しく燃え盛る、紅蓮の双翼。
最早先に聳える魔狼の事すらも眼に入らず、
想い焦がれた存在の許に少女は全速で空を翔る。
もう少し、あと少し。
急速に狭まる僅かな時間すらも、今のシャナにとってはもどかしい。
そして己の信頼に応え傍へと向かってくるフレイムヘイズを
威風颯爽足る表情で見据えた無頼の貴公子は、
「さぁて、と。
ここの所シャナやアラストールのヤツばっか目立ってやがるからな。
ここら辺でこの物語の 『真の主人公』 は一体誰なのか?
一度キッチリ確認しとく必要があるようだぜ」
学帽の鍔を抓みながら不敵な微笑をその口唇に刻んだ。
【2】
蒼き魔狼の巨眼が、その威圧感のみでバラバラに引き裂くように睨め付ける。
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