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エターナルユースの妖精王
妖精の尻尾 《後》
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オレが気にする事はないし」

目的はない。なのに足は止まる事なく進んでいく。向かう先がどこだか内心では解っていて、けれどもうそこに行く理由なんてないから言い訳を繰り返してみるけれど。

「もう他人な訳だからアイツがどうなろうが知らないし、わざわざ気を回す必要もない訳で……」

路地を出て、砂浜までの階段をすっ飛ばす。少し行けば数段の階段があるが、わざわざ階段まで行って降る事すら面倒で、幾分か高さのある地点から屋台と屋台の間に飛び降りた。
さくり、と砂を踏みしめる音と共に危なげなく着地して、ここでようやくニアは現状を認める事にした。

「……ああもう、オレってこんな過保護だったか……?」

彼は今、港で船を見送っている。
そしてその船は、あの火竜(サラマンダー)がパーティーを開くと言った船で、今日の昼まで一緒だった知り合いが乗っていて。
別に放っておいても害はないはずなのに、どうしてか嫌な予感がしてしまうのは何故だろう。

「……まあ、仕方ないか。とりあえず追うとして…」



数秒後、彼は数人の男に囲まれ。
それから五分と経たず、苛立ちのままに、己が得物である鎌で全員を屠っていた。








「ルーシィか……いい名前だね」
「どぉも」

ザザァ、と波の音が響く。
そこそこ立派な船で、火竜(サラマンダー)が主催するパーティーは開かれていた。それぞれドレスで着飾った少女達が軽食を摘まんだりワインを飲んだりしながら談笑している中、船の一室でルーシィはにこにこと笑みを浮かべている。言うまでもなく愛想笑いだ。

「まずはワインで乾杯といこう」
「他の女の子達、放っておいていいの?」
「いーのいーの」

とくとくとワインをグラスに注ぐ火竜(サラマンダー)に問うと、笑いを含んだ声で返された。すぐにルーシィ側のグラスが赤紫の液体で満ちる。

「今は君と飲みたい気分なんだよね」

パチン、と指が鳴った。と、同時にグラスの中のワインが揺れる。ちゃぽん、と音を立てて上へと逆立ったワインが途切れ、いくつかの小さな球体になってルーシィの前で止まった。
一種の魔法だろうか。初めて見るそれに、一瞬警戒も忘れ見入る。が、それは本当に一瞬の事だった。

「口を開けてごらん。ゆっくりと葡萄酒の宝石が入ってくるよ」
(うざ――――――っ!!!)

気障ったらしいセリフに全力で顔を背ける。魅了(チャーム)にかかっているうちは恋する乙女な溜息の一つも出ただろうが、覚めきった身としては全く魅力を感じない。
けれど、だからといって顔を背けてばかりではいられない。これも憧れのギルドに入る為と言い聞かせて、火竜(サラマンダー)の手の動きに合わせて宙を漂うワインに向き直る。

(でもここはガマンよ!!
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