妖精の尻尾 《後》
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かな、既にこの世を去った青年は、仮初の体が発する仮初の声で以て名乗った。
《与えられし名はランスロット。主の命により、そして己が願いの為に、参る!!!》
結果として、勝負は勝負と呼ぶ事に抵抗すら覚えてしまうほどに一瞬だった。明らかに手を抜いていたことが誰の目にも解る形で。
ランスロットと呼ばれ名乗った青年は、そもそも剣で相手を斬らなかった。
《はっ!!》
「っが…」
拳で向かってくる相手の鳩尾を籠手を装備した拳で突き。
《よ…っと》
「なっ、…ぐふっ!!」
振り下ろされた武器を剣で受け止め、その隙に足払いをかけて転ばせ、剣の腹で力一杯叩き。
「このっ……!!!」
《後ろ》
「は、」
鎧の部品同士がぶつかる音一つ立てずに背後に回ったかと思えば、相手に振り返る暇さえ与えず手刀で沈め。
《…何だこれは、魅了系の魔法か?どうせロクな使い方をしてないのだろう……潰しておくか》
そんな独り言を呟きつつボラの指から魅了の指輪型アイテムを外し、言葉通りに踏み潰す余裕すら見せて。
本人の言葉を信じるならどこぞの国の騎士団の二番目にただ屈強なだけの悪人程度が敵う訳もないというのは、考えるまでもない事だった。
《それで、次は誰だ?》
「今ので最後だよ。大体ナツ…その辺で暴れてるマフラーの奴が相手してるから、元々こっちには大した人数は来てないんだ」
《そうか…骨のない奴ばかりだな》
「お前からすれば大半は骨のない奴カテゴリだろ…」
鞘に剣を戻しながら倒れる男達を見下ろすランスロットの言葉に、ニアが少々げんなりとした表情を浮かべた。フードが外れているからか、普段は隠れ気味な表情の変化がはっきりと見て取れる。
「とりあえず、今回はこれで終わりだ。また頼む」
《たまには他の奴も呼んでやってくれ。ガウェインとベディが会いたがってる》
「えー…別にいいけど、アイツ等結構面倒なんだよな。ガウェインは午前中以外で呼ぶと不貞腐れるし、ベディは……うん、まあ、な」
何やら言いにくそうに最後を濁しながら、今度は自分の手でパラパラとページをめくっていく。
「…と、ここか。それじゃあランスロット、また次で」
《ああ。……あまり呼ばれないとベディが自力で出てきそうな気さえするから、出来るだけ呼んでやってほしい。常に暴れる一歩手前状態なんだ》
「……三百年以内には呼ぶ、と伝言よろしく」
《おい!?それは呼ぶ気があって言っているのか!!?答…》
「“魂魄封印”!!!!」
足元から光の粒子となって消えていくランスロットの言葉を全力で遮って、ニアは本を閉じた。
「……えっと、よかったの?」
「問題ない。……そうか…ベディなら突き
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