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【短編集】現実だってファンタジー
Killingirl Night 2 [R-15]
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100点満点花丸ちゃん。一つの命に一度だけ、末期のサケビはビューティフル。

 楽しかったし嬉しかったけど、私はそれじゃあ足りないの。町から漏れる微かな光に照らされ散らされ彼岸花。宙を流れる鮮やかな赤と、彼女の喉から漏れる布を裂くような美声が私のココロをゾクゾクさせる。
 今日は当たりだ、サイコーだ。ルンルン気分で刃を返し、キレイな首にもう一輪。
 音もなく脈を裂かれて右と左の彼岸花。二つセットでとってもオトク、今なら悲鳴のサービス付きだ。でもでもキレイは長続きしない、一つの命は一瞬で、旬が過ぎたら終わっちゃう。その一瞬を見て聞いて、全身で感じて楽しんだのなら、今日はここまで店じまい。

「貴方とってもキレイだったよ?アリガト、本屋ちゃん♪」


 ――影を飲み込む夜の街、人を飲み込む夜の影。
 ――罪も罰も理不尽も、ここは平等に沈みゆく。

 ――路地裏に転がる芸術は、やがて本来の意味を失い唯の骸となり果てる。
 ――骸は『表』には見つからない。何故ならそこは、表から裏への分水嶺を少し過ぎた場所だから。

 ――ただのチンピラに見つかれば、金目の物や本を奪われるだけ。
 ――詐欺師に見つかれば、持ち物から人物を特定されて家族をカモに金を取るだけ。
 ――散髪屋に見つかれば、金になる髪はすべて狩り取られるだけ。
 ――医者に見つかれば、「好事家(ネクロフィリア)」に高く売れると持ち去られるだけ。

 ――残った赤黒い血痕(ひがんばな)だけが、少女が世界に残す最後の痕跡。

 ――そう、それだけ。これはそれだけの話。


 今日は返り血0パーセント、満足度は100パーセント。華と美声は測定不能のプライスレス。
 カンペキな作業にホレボレしながら、今日も私は帰路に就く。

 楽しいな。楽しいな。明日は誰を、殺そうか。
 明日は誰を、咲かそうか。毎日毎日幸せだ♪



 = =



「――毎日幸せそうよねー、ククリはさ」
「えっ、そーお?」

 昨今ストレス社会だ何だと言われる面倒ごとの多い社会の中で、この友達はいついかなる時も元気いっぱいである。少なくとも友人の美丘(みおか)未沙香(みさか)霧埼(きりさき)久々理(くくり)のことをそういった人間だと考えている。

 いつもノンキであっけらかんとしていて、決して頭が良い訳でもない筈なのにテストの成績はいつも高い。日常ではノンキなのに試験などになると突然能力を発揮する。未沙香(みさか)にとっても周囲にとっても、久々理(くくり)はズルい存在だった。

 顔は結構可愛いし、足が長くてすらっとした体系はちょっとした女性誌のモデルになれそうだ。運動神経も抜群で愛嬌もあって、なによりノンキ過ぎて憎めない。天然キャラを気取ってるなんて言わ
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