第六話 勝利の栄冠その四
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入して凌ぐしかなかった。第四、第五戦も山田の先発も考えられたが山口は前の試合で打たれていて不安があった。それで山田を投入したのだ。
「今井とか佐藤がまだおるしな」
「あの二人を使いますし」
「今は、ですか」
「山田や」
梶本はこう言って山田をマウンドに送ったのだ、試合は稲葉の必死のピッチングもあり遂に延長戦となっていた。
「あと一点」
「あと一点でええのに」
「その一点が取れんな」
「どうしても」
近鉄ファンも阪急ファンも試合を見守りつつ緊張で死にそうな顔になった、近鉄はあと一点でも入れば優勝出来る、阪急は望みをつなげる。それだけに必死だった。
だが試合は延長に入ってしまっていたのだ、しかしその十回表にだった。
近鉄は山田を攻めてツーアウト満塁になった、ここでまたしてもバッターボックスには小川が入った。その小川を観てファン達は言った。
「このプレーオフ小川はホームラン打ってるしな」
「一戦目でも二戦目でもな」
「この試合でも三回にゲッツーでも一点入れてる」
「妙に当たってるな」
皆このことを言った。
「ずっと近鉄におるけど」
「それでいて地味やけどな」
「それでもこのプレーオフ渋い活躍してるわ」
「案外な」
「そやったら」
その近鉄一筋の地味な男が若しかしたらというのだ。ファン達は小川に期待を感じた。
小川は山田のボールを打ったがショートの守備範囲だった、去年の後期最終戦では恐ろしいまでの名手大橋が近鉄の得点を封じたが。
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