十八話:河川敷の決闘
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ち倒し、そして何度も立ち上がり戦い続けていく。
「ぐだ男君…っ」
その光景をジャンヌはジッと見つめ続ける。
何度も打ち倒されながらも、その度に這い上がる彼の姿に見惚れる。
同時にどこまで傷つき続ける姿に不安と焦りが込み上げる。
知らず知らずのうちに服の裾を手が真っ白になるほどに握りしめていた。
だが、それでも二人を止めることはしない。
「ぬぉおおおおッ!!」
雄叫びを上げながらジルはぐだ男を吹き飛ばす。
もはや、何度打ち倒したのかは彼にすら分からない。
しかし、回数など関係はなかった。
あるのはぐだ男は決して負けを認めないという確信だけ。
『――――――ッ!!』
声がでない程に掠れた喉で吠えるぐだ男。
足が痛い、手が痛い、腹部が痛い。
痛くない場所など体のどこにも存在せず、肉体は限界だと悲鳴を上げる。
だが、その悲鳴を気合一つで抑え込み終わりのない戦いに挑み続ける。
―――己の意志を貫き通すために。
「ぐだ男君―――負けないでください!!」
『……ッ、うぉおおおおおッ!!』
ジャンヌからの声が届く。
ぐだ男は潰れた喉から声を出し、最後の力を振り絞る。
選んだ技は突き。真っすぐに突き出し捨て身の覚悟で突進する。
相手からすれば軌道は読みやすい攻撃だが迎撃するのはやり辛い技だ。
しかし、ジルは敢えて真正面から受け止める姿勢を見せる。
彼を打ち倒すには真正面から心を砕く以外に方法がないと理解したために。
「これが…! 正真正銘の最後ですッ!!」
『ぐぅ…ッ!』
以前のように剣を跳ね上げ、返す刀に横からの一撃を叩き込むジル。
ぐだ男の右手は剣と共に宙に浮きとてもではないが反撃が間に合う距離ではない。
万事休す。そう、ジルもジャンヌも思った。しかしながら。
『その技は―――覚えたぞ…ッ!』
「な…っ!?」
ぐだ男はジルの剣を左腕を犠牲にすることで防ぎきる。
驚愕の表情を浮かべるジルに対し、彼は焼き鏝を押し付けられたように痛みを抑えながら笑う。
どこまでも強気に―――最初から苦戦などなかったというばかりに。
「今です、ぐだ男君!」
『ハアァッ!!』
右腕の剣に全身全霊の力を籠め振り下ろすぐだ男。
咄嗟に剣を戻し防御を行おうとするジル。
両者の行動には一切の無駄はない。
故に―――甲高い金属音が鳴り響いたのは偶然ではなく必然だった。
「……私の負けです。あなたのような人が―――娘を好きになってくれて本当によかった」
優しく微笑み、握りしめていた剣を地面に放り投げ自身の敗北を認めるジル。
一方のぐだ男は喜びの
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