十八話:河川敷の決闘
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微笑む。
自分が手助けしなくとも彼女はそのうち自分の気持ちを素直に表すことができるだろうと。
「もう、こんなことしなくていいんですよ。ほら、ぐだ男君、私の肩に捕まってください」
なおもムスッとした表情で父に怒りながらぐだ男の介抱を行おうとするジャンヌ。
しかし、彼女の行いは彼の手により制される。
『―――まだ、終わってない』
フラフラとした足取りのまま剣を構えるぐだ男。
その姿にジャンヌだけでなくジルも目を見開く。
彼は何故、まだ戦い続けるのかと。
「もういいんです。お父さんの戯言になんて付き合わなくても私は気にしませんから」
気遣うように体を支えようとするジャンヌの手を優しく退け、ぐだ男は首を振る。
『誰の問題でもない。……これは俺の意地だから』
戦う理由は、もはやジルのためでもなく、ジャンヌのためでもない。
己の男としての意地だけが今にも折れそうな彼の体を支えていた。
『ここで引いたら俺は……君のことを―――胸を張って好きだと言えなくなるッ!!』
如何なる理由であれ彼女をかけた戦いから逃げてしまえばもう戻れない。
自分の心に逃げたというしこりが残り続ける。
それだけは嫌だった。
『君が俺を好きでなくても……忘れたとしても……この気持ちにだけは嘘をつきたくないんだ』
「ぐだ男君……」
『だから、最後まで戦う。自分の体が動く限り戦わないと、きっといつか言い訳をしてこの想いを無くしてしまうから……戦わせて欲しい』
傷だらけの顔で無理やり微笑みを作り笑いかけるぐだ男。
ジャンヌはそんな彼の笑顔に胸が張り裂けるような気持ちになる。
自分をここまで純粋に想ってくれるのは嬉しい。
だが、自分のために傷つく姿など見たくない。
まだ、止めるべきか苦悩しているところに今度はジルが口を出してくる。
「仕掛けた身で言うのもなんですが、ジャンヌ。彼の思うようにさせてあげなさい」
「でも……」
「男には決して引けない戦いというものがあるのです。そしてそれが今来たというだけです。彼にとっても、私にとっても……」
ぐだ男と鏡合わせになるように剣を構えるジル。
そんな姿にジャンヌはなおも悩むが最後には無言で下がっていく。
二人の意思を尊重することにしたのだ。
『ありがとう、ジャンヌ。それじゃあ……お願いします!』
「手加減はしませんよ。最後の最後までお付き合いしましょう!」
剣撃が舞う。
ぐだ男の剣術は相も変わらず素人のそれであるが勢いは先程までとは比べ物にならなかった。
しかしながら、相手のジルも勢いだけで倒せる相手ではない。
依然としてその剣術に陰りはない。
二人は何度も打
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