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第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#22
DARK BLUE MOONXIV〜Braze Blood〜
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上げ、立ちはだかるように
両方の手足を広げていた。
 そして、何も()らない自分に、スベテを告げた。
 自分は、この世ならざる存在、 “紅世の徒” だと。
 おまえ達 「人間」 は、自分達のあらゆる欲望を充たす単なる(エサ)に過ぎないと。
 故に、おまえのスベテを知っていると。
 おまえの望むモノも、大切なモノも、何もかも。
 全身から淀んだ銀色の炎を噴き上げ、
甲冑の隙間から夥しい蟲の肢を這い擦り出し、
心底愉しそうに嘲笑(わら)いながら “ソイツ” は続けた。
 だから、おまえの願望をオレが 『代行』 してやったのだと。
 スベテを失った人間が、一体どんな悲鳴をあげるのか愉しみだったと。
 そして予想通り、おまえの絶望の叫びは実に良い音色だったと。
 そう言って、開いた眉庇(まびさし)の裡から無数の歪んだ眼を剥き出しにし、
心底可笑しそうに嗤った。
 もうこれ以上壊れる事はないと想っていた自分の世界が、
ガラガラと音を立てて崩れていった。
『そんなことの為に?』
 異界の住人、紅世の徒、炎、宝具、自在法。
 告げられた 【真実】 はどうでも良かった。
『そんなくだらないことの為に?』
 この娘を……ルルゥを…… 
 全身に充ちていくドス黒い感情と共に、己の血が凍てついていくのが解った。
 生きようが死のうがどうでもいい。
 惨たらしく殺されても構わない。
 それでも。
 コイツは。



“コイツ” だけはッッ!!



 絶え間なく流れ落ちる血涙と共に、ガチガチと鳴り響く歯と共に、
傍にあった石を握り締めた。
 なんでも、イイ。
 誰でも、イイ。
 私に “コイツ” を、殺させて……
 誰でもイイ、悪魔でも何でも構わないから。




紅世の徒(こいつら)全部ッッ!! ブッッッッッッ殺させてよおおおおおおお
おおおおおぉぉぉぉぉぉ――――――――ッッッッッッッ!!!!!!!!”






『いいだろう』






 闇蒼の月が照らす破滅の情景の中に、声が響いた。
 同時に背後から迸る、青い火走り。
 振り向いたその先に、男が立っていた。
 肋 骨(あばらぼね)の浮いた、しかし鋼線のように張り詰めた剥き出しの痩躯に
獣革と金属で(しつら) えた異質な洋装を纏い、この世のモノとは想えぬ
群青の髪と瞳を携えた、美しき餓狼を想わせる一人の男。
「臓腑の焼け焦げる臭いに誘われて来てみたが、テメー、見ねぇ(ツラ)だな?
どうだ? オレと遊ばねぇか?」
 凄艶な口唇に好戦的な笑みを浮かべ、男は意外なほど透き通った声で
赤錆た甲冑に言った。
「“蹂躙の……爪牙 ……!” ヒヒッ……!」
 問われた方
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