暁 〜小説投稿サイト〜
つま先立ちの恋に慣れたら
誰にでも
[2/2]

[8]前話 [9] 最初
奈々は首をひねる。心当たりがないので話しようがなく黙っていたら、怜治が目の前に来て、顔を覗き込まれた。

 「れ、怜治さん、近いです・・・!」
 「この距離で、彼とキスしてなかった?」
 「キ、キス!?してません!!なにかついていたので取ってもらったんです」
 「え?・・・・・・なんだ、そうだったの」

 怜治は拍子抜けしてしまった。角度の問題でそう見えていただけだったのか。よかった、確かによく考えてみると、公衆の面前でキスする男女はなかなかいない。彼女のこととなると常識うんぬんを考えるのを忘れてしまうらしい。彼は安心して、誰にも見られないところで奈々を抱きしめる。

 「はあ、よかった。他の男にされたのかと思って気が気じゃなかったんだ」
 「そんなこと、怜治さんじゃなかったら全速力で逃げてます」
 「・・・でも、君がとっていいって、言ったの?」
 「はい、自分で取れなかったので」
 「・・・・奈々は異性の顔に触れてもドキドキしないの?」
 「・・・・・!」

 ようやく自分のしたことに気づいたようで、大きく目を見開いた。半開きになった口元を、人差し指の先でそっと抑えてから優しく微笑む。

 「他の男に勘違いさせるようなこと、もうしちゃだめだよ?」
 「あ・・・・はいぃ・・・・」
 「俺からのお願い、ね?」
 「分かりましたっ・・・」



  誰にでも 隙だらけ
       (しばらく気を抜けそうにないな)






お題元:確かに恋だった 様

[8]前話 [9] 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ