第二十三話 完全にその一
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第二十三話 完全に
優花は遂にだった、その身体の全てが女性のものとなった。その姿を療養所の中の姿見の鏡で見てだった。
別人を見る様な顔でだ、隣にいた岡島に言った。
「何か」
「自分じゃないみたいだね」
「はい」
そう思う気持ちを正直に述べた。
「僕、ですよね」
「そうだよ」
「ずっとこうして姿をチェックしてきましたけれど」
「今はだね」
「自分じゃないみたいです」
自分でもこう言った。
「髪の毛も伸びましたし」
「そうだね、髪の毛もね」
「伸びましたね」
気付けばそうなっていた、髪の毛は肩を完全に覆う位になっていた。勿論せは縮んでいて身体は丸みを帯びていた。胸も出ている。
「結構」
「そうだね」
「何か思ったよりも」
顔も見て言う、自分の。
「自然ですね」
「女の子のものだね」
「はい、そうなっていますね」
「こうして見たら」
鏡に映っている優花を見てだ、岡島はこうも言った。
「可愛い感じだね」
「女の子として」
「気を悪くしたら謝るけれど」
この前置きからだ、岡島は優花に話した。
「君は元々女性的だって言われてたね」
「よく言われてました」
「そうだね、だからね」
「今はですね」
「女の子になっていますね」
「どう見てもね」
「外見は」
「喋り方もね」
そちらもというのだ。
「もう完全にね」
「女の子になっていますか」
「うん」
その通りという返事だった。
「とても元男の子とは思えないと」
「そうですね、けれど」
「訓練はすべきですね」
「さもないとね」
それこそというのだ。
「ばれるからね」
「外見や喋り方でわからなくても」
「そうしたことからわかるか」
「前にお話してくれた通りですね」
「そうなるからね」
だからだというのだ。
「訓練はね」
「絶対にしないといけないですね」
「そう、気をつけてね」
「わかりました」
確かな声でだ、優花も答えた。
「訓練も受けます」
「そうしてね、けれどよかったよ」
「よかった?」
「無事に女の子になれてね」
それでというのだ。
「本当によかったよ」
「途中何かあったかも知れないんですね」
「うん、身体が急に変わったりするとね」
「何があるとわからない、ですね」
「何もなくてよかったよ」
優花が無事に女の子になれてというのだ。
「本当にね」
「確かに。言われてみれば」
優花も言われて思った、ここで。
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